「第5回北京‐東京フォーラム」での分科会「安全保障対話」の打ち合わせが10月21日に行われ、言論NPO代表の工藤泰志のほか、「安全保障対話」に出席する明石康氏(国際文化会館理事長)、山口昇氏(防衛大学校総合安全保障研究科教授)、若宮啓文氏(朝日新聞社コラムニスト)の3名のパネリストと、実行委員の西原正氏(平和・安全保障研究所理事長)が出席し、今年の対話では、「中国の経済・軍事大国化や日本の政権交代など、起こりつつある大きな変化の中で次なる協力の可能性を探るきっかけにしたい」との方向性が合意されました。
言論NPOが今年実施した日中共同世論調査では、両国の国民がお互いに対しこれまでと同様に軍事的脅威を感じており、その傾向が高まっていることなどが明らかになりました。
山口氏は「具体的な協力関係の構築」に加え、軍事増強を続ける中国に対しては「情報の透明化を含めた信頼回復・信頼醸成」も日中間の大きな課題であると述べ、明石氏は、日本としては中国に対して懸念を率直に伝えると同時に、一方で過敏になりすぎないよう良識的な態度を示すべきだとの考えを示しました。
また、鳩山新政権が提示する「東アジア共同体」構想をはじめとする具体的な日中協力の可能性と課題をどう考えるかついては、出席者間で特に白熱した議論が行われました。
西原氏は「中国の軍事力の伸びが著しい中での安易な協調は、結果的に対中追従につながりかねない」との危惧を表明し、山口氏もこれについては柔軟かつ慎重な姿勢が求められるとしました。また明石氏は、「東アジアには冷戦期のひずみが残っている」と述べたうえで、「中国の大国意識が日本など周辺に与える影響について、中国はもっと自覚的になるべきだ」と語りました。若宮氏はこれらを受け「国際協調の気運が高まっている中にあっては、中国にも誠実な対応が求められている」と指摘したうえで、将来の目標としての「東アジア共同体」について、議論の種をつくっておくことには価値があるだろうと述べました。
文責:インターン 河野智彦(東京大学)
「第5回北京‐東京フォーラム」での分科会「安全保障対話」の打ち合わせが10月21日に行われ、明石康氏(国際文化会館理事長)など5名が参加しました。今年の対話では、「中国の経済・軍事大国化や日本の政権交代など、起こりつつある大きな変化の中で次なる協力の可能性を探るきっかけにしたい」との方向性が合意されました。