「第10回東京‐北京フォーラム」の事前協議が8日、北京市の中国日報社で開かれ、日本側からは言論NPO代表の工藤のほか、本フォーラムの日本側実行委員長である明石康氏(国際文化会館理事長)、同副委員長の宮本雄二氏(元駐中国大使)、山口廣秀氏(日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社理事長)が、中国側からは趙啓正氏(中国人民大学新聞学院院長、元全国政治協商会議外事委員会主任)、魏建国氏(中国国際経済交流センター副理事長兼秘書長)、彭克玉氏(中国人民外交学会副会長)、李薇氏(中国社会科学院日本研究所所長)、楊伯江氏(同日本研究所副所長)、高岸明氏(中国日報社副総編集長)ら全10氏が参加して開催されました。
今回の事前協議で日中双方は、「第10回東京‐北京フォーラム」を本年9月27日(土)、28日(日)、29日(月)の3日間の日程で、東京都内において実施することに合意しました。
協議の冒頭で、「第10回東京‐北京フォーラム」のホスト国となる日本側から、本年のフォーラムの意義、概要について説明がなされました。特に本年のフォーラムが果たすべき役割として、安倍首相の訪中が予定されている11月のAPECの北京開催を控え、政府間関係の改善に向けた環境づくりに取り組むこと、昨年のフォーラムで合意した「不戦の誓い」を具体化し北東アジアの平和構築に取り組むこと、両国の冷静な世論を喚起することで国民間の感情悪化を乗り越えること、の3点が指摘されました。
その中で工藤は「日中関係は困難な状況にあるが、関係改善の動きが始まっている。そうした中で9月末に開催されるこのフォーラムは、両国関係の改善に決定的な役割を果たす可能性がある」と述べ、今回のフォーラムに日本側として全力で取り組む決意を示し、中国側にも協力を求めました。
これに対し中国側からは、日本側の示したフォーラムの意義に積極的に賛成する意見が相次ぎました。その上で、「両国関係が困難な状況だからこそこのフォーラムは重要であり、関係を前に進めるための大きなビジョン、大きな知恵を出すことが求められている」といった意見が出されました。
また、双方の出席者は各分科会のテーマや議論すべきトピックについて、過去9回の経験を踏まえて意見を交わしました。その中では、経済や安全保障について両国の現場レベルの対話が必要であるとの意見や、若者同士の対話を求める意見が出されました。また、環境や少子高齢化など両国に共通する課題について、相互の協力を進めるための場が必要だとの意見が出されました。
最後に双方の実行委員会は、今回合意したフォーラムの役割を果たすため、9月末に向けて両者が最大限の努力を行い必要な準備を進めていくことで合意し、会議を締めくくりました。
言論NPOでは「第10回東京‐北京フォーラム」に関しての最新情報を、今後もウェブサイト等を通じてお伝えしていきます。是非ご覧ください。
事前協議の合意事項
日本側および中国側の双方は、今回の事前協議にて以下の内容で合意しました。
- ① 「第10回東京-北京フォーラム」を、本年9月27日・28日・29日の3日間の日程で、東京都内ホテルにて開催する。
- ② 「第10回東京-北京フォーラム」は11月のAPECの北京開催を控えたタイミングで開催され、日中関係改善に向けた世論の環境づくりのため重要な役割を持つ。本フォーラムではこの役割を果たすことに加え、昨年の「北京コンセンサス」(不戦の誓い)を具体化し北東アジアの平和構築に取り組むこと、さらに両国の冷静で建設的な世論を喚起することで国民間の感情悪化を乗り越える新しい大きな流れをつくり出すことを目指す。
- ③ フォーラムのメインテーマ、および4つの分科会のテーマは以下の通りとする。
- ④ フォーラム最終日に日中間の合意事項として「東京コンセンサス」(仮称)を発表する。
メインテーマ:北東アジアの平和構築と日中両国の責任 ― 対話の力で困難を乗り越える
政治対話:東アジアの平和構築と政治の信頼
経済対話:経済の構造改革と日中の共通利益
メディア対話:日中の相互尊重と健全な輿論
安全保障対話:危機管理と北東アジアの平和構築