日韓両国の健全な世論に支えられた関係構築を ~「第2回日韓未来対話」報告~

2014年7月18日

【報告】「第2回日韓未来対話」-プレ会議(非公開)


 言論NPOと韓国のシンクタンクである東アジア研究院(EAI)は、日韓関係の未来を市民目線で考える公開型のフォーラム、「第2回日韓未来対話」の前に、7月18日午前から、公開セッションの打ち合わせともなる非公開のプレ会議を行いました。

 日本側は小倉和夫元駐韓大使を座長に、政界関係者、経済人、学者、マスコミ関係者、文化人など13氏、韓国側からは河英善EAI理事長を座長に、政府関係者、経済人、学者など14氏がパネリストとして出席しました。

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 議論に先立ち、韓国側主催者の李淑鐘・東アジア研究院院長から挨拶がありました。李氏は「長期的な観点から、韓日関係を市民の目線から考え、両国の国民が相互理解を深めたい」と対話の趣旨を説明しました。

工藤
続いて、日本側主催者の言論NPO代表の工藤が、ナショナリズムに基づいた世論が政府間外交を動きにくいものにしている問題を指摘した上で、「有識者が公開の場で議論することによって、課題解決の意思を持つ健全な世論の触媒とならないといけない」と述べ、本対話の意義を確認しました。

 次に非公開で行われたパネラー打ち合わせのセッションでは「日韓未来対話成功に向けて」と題して、7月10日に発表された日韓共同世論調査結果について議論が行われました。

 まず議論の前提として調査報告がありました。報告では、「日本の韓国に対する印象が悪化し、韓国では依然として日本に対する印象が悪い」ことや、「日本人は韓国を民族主義と考え、韓国人は日本を軍国主義と考えている」こと、さらに「韓国人が日本を軍事的脅威と感じている」ことなど調査結果の概要が説明されました。さらに「相手国との直接交流が不足」しており、「両国民の相手国に対する認識は自国のメディア報道に依存している」ことなど両国民の相手国の認識が、直接的な交流よりも、メディアなど間接情報の依存する構造への問題点が指摘され、「こうした構造を考えるときにきているのではないか」と問題提起が提起されました。また相手国に対する印象など国民感情が悪化している現状を両国民の六割以上が、問題視し、改善を希望するなど、国民間に冷静で政府間の対立に距離を置く傾向が出始めていること、お互いの交流経験が多い有識者の調査では相手国への印象がむしろ、良いという人が多数であるなど、一般世論との違いも説明されました。

 その後、パネリスト間で、世論調査結果から何を課題として考えるべきか意見交換が行われました。韓国側から「歴史問題について、韓国は冷静に見ることができていない側面もあることを理解する必要がある」と歴史認識の違いを指摘する声がありました。また、「メディア報道の割合を縮小させるために、直接的な民間交流をもっと増やすべきだ」といった対処策や「自衛隊行事がロッテホテルで急遽できなくなったのは、それを問題視するある新聞のメディア報道があった。国民の人気を得るための悪い報道である」と、韓国側メディアの報道のあり方も問題になりました。また、「これまで相手国に関する議論は、対中国、対米国との議論の中で語られてきたが、日韓関係を正面に据え議論するときに来たのではないか」や「韓国は植民地になった歴史をしっかりと理解できていないし、日本も戦争の責任を一部の政治家の押しつけている」といった、日韓に内包する様々な問題点が指摘されました。

 日本側からは、「一部政治家の過激な発言」がメディアで取り上げられることによって、大多数の国民はそのような発言をしないにもかかわらず、そうしたイメージが日本や韓国の全体において定着してしまう傾向や「これまで日韓問題に関心がなかった層が、関心を持ち始めている。こうした直接的な交流がない人たちの問題に対して、どのように対処すれば良いのか」などの問題提起がありました。140718_04.jpgまた、相手国に対する相互認識の欠如が明らかになったことを踏まえ、「相手を理解しようとすることが大事であるとおもに、相手に理解してもらうとする努力が必要だ」という意見や、「両国が協力できる課題を見つけ、協力しいていくべき」という積極的な意見も出されました。

 また、日韓関係について欠けている点として韓国側から、北東アジアのパワーシフトの変化にどう向かい合うのかの観点や、日韓関係が2者間関係のみにとらわれているために、北東アジアやアジア太平洋とかグローバルという観点が欠けていること。さらに対立の長期化で機会費用がかなり膨らんでいることの認識が欠けている。4つ目は真の意味での日韓の和解のための両国の努力が欠けていること。5つめは、相手国への説明が欠けていること。などとの発言がありました。これに対して日本側から、「お互いに批判することもあると思うが、お互いの良いことは評価しながら、日韓関係を過去・現在・未来のバランスのとれた観点から対話をしていきたい」を意欲が語られました。

⇒第2回日韓未来対話-公開セッション(前半)
⇒第2回日韓未来対話-公開セッション(後半)


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