「普段着の日韓関係」をめざすべき
[日本側パネリスト] 小松浩
(毎日新聞社論説委員長)
私は昨年のソウルでの対話に続いて2回目の参加でしたが、昨年に比べると、議題がかなりバランス良く整理されて終わったような印象を受けました。
1年前と比べて日韓関係はほとんど何も変わっていないのですが、工藤さんがおっしゃっていたように、こういう対話を継続することの大切さは感じました。よくよく考えてみれば、これだけ濃密な交流が国民同士にあるのにこれほど関係悪化が喧伝されている、また、これほど熱心にさまざまなチャネルで対話、交流をしようという機運がある関係というのも、世界的に見てもきわめて珍しいのではないかと思っています。
ただ、あまりに生真面目に考えすぎて、関係悪化の反動として「日韓が常に同じ価値観を共有して仲良くし、すべて連携する」という極端な関係を目指すのもまた、あまり健全ではないのかなという感じは受けます。言いたいことは言い合う、違いは違いとして認め合う、そして政治トップ同士の対話も常に行われているような、ごくごく「普段着の日韓関係」を将来は目指すべきだと思います。
北東アジアの力関係が変化する歴史的な流れの中では、決して一朝一夕に課題を克服してそういった関係になれるとは思いませんので、時間をかけて忍耐強く、我々がこうした対話を重ねていくということが、これから先一番大事になるのではないかと思いました。
- 申珏秀 (シン・ガクス)氏(韓国国立外交院国際法研究所所長、元駐日大使)
- 李淑鍾(東アジア研究院(EAI)院長))
- 李源宰(希望製作所ディレクター)
- 小松 浩(毎日新聞社論説委員長)
- 山本 和彦(森ビル特別顧問、森ビル都市企画代表取締役社長)
- 深川 由起子(早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科 教授)
- 西野 純也(慶應義塾大学法学部 准教授)
- 阪田 恭代(神田外語大学国際コミュニケーション学科 教授)
- 添谷 芳秀(慶應義塾大学法学部教授)
- 吉岡 利代(ヒューマン・ライツ・ウォッチ シニア・プログラム・オフィサー)