【対談】「言論外交」が東アジアの平和的な秩序づくりにおける理念となる

2015年8月22日

「言論外交」の次のチャレンジは、アジアの未来に向けた議論

工藤:私たちは10月に北京で、第11回目の「東京-北京フォーラム」を行います。神保先生にも一緒に行っていただけるということで、感謝しています。アジアの平和的な秩序づくり、そして未来を考えた議論を、少なくとも民間レベルで開始しないと、二つの大きな国が共存して発展できるという環境をつくれないと思います。それこそ、私たちにとっては「言論外交」の次のチャレンジなのです。ただ、それは政府だけに任せるのではなく、まず「言論」として、多くの人たちと議論を戦わせて、その環境づくりをしなければいけないと思って準備を開始しているところです。この「言論外交」を、私はどうしても、アジアの平和的な秩序づくりのために活かしたいのです。

神保:「言論」は時代を導く大きな資産であり、ツールであると思っています。人は言葉によって生きているので、その言葉をどのように導いていくのか、社会をどのようにつくっていくのかというときに、この作業を常に重視しなければいけません。

 二つ目に、「繰り返す」ことがすごく大事だと思います。ネットでただ単に言葉を発しているのと、相手の顔を見て「その人とこれからも付き合っていくのだ」という自覚のもとにする発言というのは、責任も重みもまったく違ってきます。そうした責任や重みをつくっていく作業が、言論NPOの行っている活動であり、さまざまな相手国とのフォーラムを続けていくことの意味ではないかと思っています。これによって新しいコミュニティを創造していくというのが、大きな使命ではないかと思います。

工藤:私の夢は、アジア全域に「言論会議」をつくることです。つまり、アジアのみんなが率直にアジアの課題や未来を議論できる、そういう民間の舞台をつくりたいのです。私たちが進めている日本と中国、そして、日本と韓国との対話は、その一歩ですが、特にその中でも重要なのは、大国である日本と中国の関係だと思います。そこでお互いがそれぞれの国や、アジアの未来をどう設計するのか。そうした未来に向けた議論を始めたいのです。安倍談話で示された平和な環境をつくり出すための民間側の実践だとも考えます。これからも、私たちの「言論外交」の挑戦にぜひ注目していただければと思います。神保先生、今日はありがとうございました。

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