調査の概要
言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2015年
9月15日から4日間の期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった195人の回答内容を分析しました。
回答者の属性
※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。
1.アメリカ人への信頼度
7割を超える有識者が、アメリカ人を信頼している
アメリカ人に対して、「信頼している」(「大いに」「ある程度」の合計)と回答した日本の有識者は、75.3%と7割を超えている。他方、「信頼していない」(「全く」「あまり」の合計)は8.3%と1割に満たず、有識者のアメリカ人への信頼度は極めて高い。
問1.あなたは、アメリカ人を信頼していますか。【単数回答】
2.アメリカ人の国民性に対する評価
有識者のアメリカ人観は、「創造的で、正直、信用できるし、勤勉」だが、「個人主義的、利己的で好戦的」
アメリカ人の国民性に関するプラスの評価で、最も多かったのは、「創造的」で、86.7%と有識者の9割近くに上っている。次いで、約7割が「信用できる」(68.8%)、「正直」(65.6%)、約5割が「勤勉」(49.8%)と認識している。その一方、マイナスの評価で最も多かったのは、「個人主義」の69.2%だった。次いで、6割近くが「利己主義」(59.0%)、約5割が「好戦的」(49.2%)と認識している。
問2.アメリカ人の国民性について、「A」「B」のどちらに近いと思いますか。【単数回答】
3.アメリカに対する基礎理解
有識者は「アメリカ」と聞いて、「多文化・多民族国家」「軍事大国」と思い浮かべる。日米関係に関するイメージは希薄。
有識者が、「アメリカ」と聞いて思い浮かべるもので、最も多かったものは、「多文化・多民族国家」で55.4%だった。これに「軍事大国」が49.7%で続き、この2つが飛び抜けている。以下は、「自由の国」(29.7%)、「経済大国」(26.2%)、「人種差別」(27.2%)となっており、ここまでが2割を超えた。
日米関係に関する事柄では、「日米安全保障条約」が最も多かったが、17.4%と2割を切っている。「広島、長崎への原爆投下」(10.3%)、「米軍基地」(6.2%)、「太平洋戦争」(3%)はいずれも1割程度である。
問3.あなたが、「アメリカ」と聞いて思い浮かべるものは何ですか。【3つまで回答】
4.貿易パートナーとしてのアメリカ
アメリカを「フェアな貿易パートナー」と考えている有識者は2割に満たない
現在、交渉が進められている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が妥結した場合、日米貿易のさらなる拡大が予想されるが、貿易パートナーとしてのアメリカに対する日本の有識者の評価は芳しくない。アメリカを「フェア(公正)」な貿易相手国だと思うか尋ねたところ、「そう思わない」が37.9%と4割近くに上り、「そう思う」の17.4%を大きく上回っている。「どちらともいえない」と判断を保留する回答も42.6%あり、貿易という観点からは、現時点での有識者のアメリカに対する信頼度は低い。
問4.あなたは、アメリカをフェア(公正)な貿易相手国だと思いますか。【単数回答】
5.中国の台頭と日米関係
有識者の約6割が、今後、日米関係が「より重要になっていく」と考えている
中国の軍事的、経済的な台頭が続く中、今後、日米関係が「より重要になっていく」と考えている有識者は、57.9%と6割近くに上っている。これに「変わらない」の26.2%を合わせると、8割以上が日米関係の重要性が、現状以下になることはない、と見ていることになる。「それほど重要ではなくなる」は8.2%と1割に満たなかった。
問5.中国の軍事的、経済的な台頭により、日米関係は今後どうなっていくと思いますか。【単数回答】
経済的な観点からも、アメリカを重視している
日本にとって輸出入総額第1位の「中国」と、第2位の「アメリカ」を、経済的な重要性で比較してもらったところ、「どちらも同じくらい重要である」と認識している有識者が、54.9%と5割を超えた。ただ、「アメリカ」を選択した有識者も39.0%と4割近くおり、4.1%の「中国」を大きく上回るなど、アメリカへの傾斜が際立っている。
問6.日本は経済関係において、アメリカと中国のどちらをより重要視すべきだと思いますか。【単数回答】
6.日米の軍事的役割
有識者は、日本の軍事的役割に対しては、慎重な態度を取っている
北東アジアの平和と安定のための日本の軍事的役割を「制限すべきである」と考えている有識者は55.9%と5割を超え、「より積極的な役割を果たすべきである」の24.6%をおおきく上回っている。
問7.あなたは、北東アジアの平和と安定を維持するために、日本はどうすべきだと思いますか。【単数回答】
8割を超える有識者が、アメリカの軍事的役割に対して期待している
一方、日本と中国が軍事紛争に至った場合に、アメリカが軍事力を使用すべきか尋ねたところ、「場合による」が46.7%で最も多かった。次いで、「軍事力を使用すべきである」が36.4%となり、この2つを合わせると8割以上の有識者が、アメリカの軍事力行使を選択肢から排除していないことになる。「軍事力を使用すべきではない」は13.8%と1割程度にとどまった。
問8.あなたは、日本が中国と深刻な軍事紛争に至った場合、アメリカはどう対処すべきだと思いますか。【単数回答】
半数を超える有識者が、アジアリバランスを評価
現在、アメリカが進める「アジアリバランス」についても、「好ましい」が55.9%と5割を超え、肯定的な評価が目立っている。
問9.現在、アメリカはより多くの軍事的資源をアジアに注力する「アジアリバランス」を進めています。あなたは、この「アジアリバランス」をどう評価しますか。【単数回答】
7.アメリカや日米関係に関する情報源
海外のニュースメディアが5割を超えている
アメリカや日米関係に関する情報源では、「日本のニュースメディア」が83.6%と8割を超えている。ただ、「アメリカなど海外のニュースメディア」が54.4%と5割を超えており、日中有識者調査や、日韓有識者調査と比べても際立って高くなっている。