中国政府が人民元の事実上の切り下げを行う中、言論NPOは、中国のエコノミスト、経済の研究者を対象に、現在と今後の中国経済をどのように見ているのか、緊急アンケートを行い、13名の方からご回答いただきました。
※今回ご協力いただいた皆様
華民(复旦大学经济学院世界经济系主任、教授,中国世界经济学会副会长)、李暁(吉林大学经济学院副院长,国际经济系教授,世界经济学会副会长)、呂火明(四川省农业科学院 教授)、彭興韵(金融研究所货币理论与货币政策研究室主任)、楊錦秀(四川农业大学教授)、陳井安(四川省社会科学院研究员教授)、王剛(中国社科院金融研究所研究员)、張明(中国社会科学院世界经济与政治研究所研究员,国际投资研究室主任)、黄先海(浙江大学经济学院院长)、宗良(中国银行国际金融研究所副所长研究员)、李婧(首都经济贸易大学教授)、王雲霞(北京工商大学经济学院教)、庄宗明(厦门大学经济学院教授 世界经济学会副会长)
まず、今回の中国の人民元切り下げが、現状程度(3%)で終わると思うかを尋ねました。その結果、「現状程度で終了すると思う」との回答が6人で最多となりました。ただ、「数ヶ月間にわたり、切り下げを更にすすめると思う」が3人、「その他」の中に「ゆっくり切り下げを進めていくかもしれない」が1人、さらに、「現時点では判断できない」が3人いるなど、更なる切り下げもあり得るとの見方が7人おり、専門家の中でも見方が分かれています。
問1.中国の人民元切り下げは現状程度(3%)で終わると思いますか。
続いて、現在の中国の景気減速をどの程度深刻に捉えているかを尋ねました。その結果、「減速しているが、7%成長は維持しているので深刻には捉えていない」が4人、「それなりの影響はあるが、中国政府が対策を打つだろうからあまり深刻には捉えていない」が6人と、「深刻な状況ではない」との認識が大勢を占め、懸念する見方が多かった日本側アンケートとは異なる傾向を示しています。「株安、人民元切り下げなど事態は深刻で、世界全体に悪影響を及ぼすと思う」は2人にとどまりました。
問2.現在の中国の景気減速はどれぐらい深刻に捉えていますか。
今回の中国経済の減速の背景には、過剰投資や地方債務問題などの構造問題があると指摘されていますが、こうした構造問題に対して、中国政府がコントロールできると思うかを尋ねました。その結果、「コントロールできると思う」との回答が、9人で最多となった一方で、「コントロールできない」と回答した人はおらず、中国の専門家の間に、政府の経済手腕に対する高い信頼があることがうかがえます。
問3.中国経済の減速には、過剰投資や地方債務問題などの構造問題が背景にあります。あなたは、こうした構造問題に対して中国政府がコントロールできると思いますか。
続いて、今回の中国経済の減速の行方について尋ねました。その結果、「ソフトランディングすると思う」が2人、「短期的には一段の減速を余儀なくされるが、最終的にはソフトランディングすると思う」が10人となりました。その一方で、「ハードランディング(景気後退)する」と回答した人はおらず、今回の経済減速は、中国経済への大きな打撃にはならないとの見方が大勢を占めています。
問4.今回の中国の経済減速は今後、どのように着地すると思いますか。
最後に、今後の中国経済が、投資主導型から消費主導型の安定的な中成長に移行できるかを尋ねたところ、「移行できると思う」と楽観視する人は5人いました。これに対し、「移行できないと思う」が1人いる他、「現時点では判断できない」が6人おり、安定成長実現に向けた見通しについては、専門家の間でも判断が分かれています。
問5.中国経済が、投資主導型から消費主導型の安定的な中成長に移行できると思いますか。