「第11回東京-北京フォーラム」の1日目の日程を終えた夜、北京の日本大使公邸にて、日中両国のパネリストや支援企業関係者らが参加してレセプションが行われました。
初めに、中国側を代表して呉建民氏(国家イノベーション・発展戦略研究会常務副会長)が、挨拶に立ちました。呉氏はまず、全体会議で基調講演を行った福田康夫元内閣総理大臣、および木寺昌人駐中国大使に対し、日中関係の発展に果たした役割に尊敬の念を述べました。そして、「次の10年」のスタートとなる本フォーラムの1日目の議論を振り返り、「全体会議と分科会はいずれも成功裏に開催された。第2ステージに入った『東京-北京フォーラム』が見事に再出発を切った」という高い評価を示しました。
その上で、フォーラムの生命力を左右するものは「テーマ設定」と「生み出されるアイデアの良さ」であると定義し、前者については「21世紀の日中、アジア、世界の発展にとって非常に良いテーマだ」と述べました。後者についても「クローズドな形でいくら考えても課題への回答は生まれない。双方が胸襟を開き、真摯に意見を戦わせることで、難題を克服するアイデアが生まれる」と述べ、日中のパネリストが本気の議論をぶつけ合う本フォーラムの意義を改めて説明しました。
さらに、日中関係が回復しつつあるという認識を示し、その背景として日中間の4つの政治文書の存在を指摘しました。そして、「一方では、4つの政治文書で『行わない』と決められたことを守りつつ、もう一方では絶えず日中の共通利益を発展・増大させる」精神が必要だと強調し、「我々が手を携えて努力すれば素晴らしい将来を得られる。それは両国民のみならずアジア、世界にとっても幸いなことだ」と述べて挨拶を締めくくりました。
続いて、日本側の挨拶を行った明石康氏(「同フォーラム実行委員長、元国連事務次長)は、「『東京-北京フォーラム』には毎年参加しているが、日中共同の率直な、また知識と経験に基づく意見交換の場として他の追随を許さないものがある」と評価。そして、今回から中国側の主催者が変更となった本フォーラムの今後について、「より多くの市民が参加でき、自分の思い、懸念、希望を語り、互いの夢がどうすれば実現できるのかを真剣に考える舞台にしたい」という展望を述べました。
また、日中関係について、「過去10年は『黒い雲がかかっている』と言われているが、輝かしい太陽が見え始めた感じもする。ただ、その展望は必ずしもはっきりしない」という観測を述べました。その上で、明るい未来に期待を持ちながらも、相手に粘り強く働きかけを続ける「慎重なオプティミスト(楽観主義者)」の姿勢が重要だとし、「フォーラムの意義はまさにその点にあるし、素晴らしい参加者がたくさんいる。このフォーラムが、今年だけでなく将来に向けても実りあるものとなることを祈念する」と改めて強い期待を明らかにしました。
その後、木寺大使による乾杯の音頭によってレセプションが始まりました。途中、京劇の役者による歌の披露も行われ、大いに盛り上がる中、1日目の全日程は終了しました。