「第4回日韓未来対話」レセプション 報告

2016年9月03日

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⇒ 「日韓両国民の相互認識における変化と継続性」 ~「第4回日韓未来対話」第1セッション~
⇒ 非公開対話「韓日関係と韓日米安全保障協力への展望」報告
⇒安全保障非公式会議「韓国と日本の安全保障の未来」
⇒第4回日韓共同世論調査 日韓世論比較結果


 9月2日、ソウルで開催されていた「第4回日韓未来対話」は全ての議論を終え閉幕しました。その後行われたレセプションには、パネリストなど約50名が参加しました。

030A1408.jpg 冒頭、あいさつに立ったユ・ミョンファン氏(元外交通商部長官)は、これからの韓日関係50年は、北東アジア地域の平和と繁栄のために何ができるのか、という前向きな共通のビジョンを持ち、共に歩むことが必要であると指摘した上で、「韓国は過去の被害意識を抜け出し、日韓関係を対等な立場で考える、日本は韓国に対する誤った認識から抜け出し、北東アジアのパートナーだと認識するべきである」と述べました。そして、今回の日韓未来対話は時宜に適った、非常に有意義なことであったと賞賛しました。

030A1410.jpg 続いて、8月末に大使として着任された長嶺安政氏(駐韓国大使)は、言論NPOと東アジア研究院(EAI)が行っている日韓共同世論調査の結果を日本大使館としても大いに参考にしていると紹介。今回の調査では、両国民共に数年間の行き過ぎた悪感情の改善が始まっていることを示す結果が出ており、「非常に勇気づけられる結果だった」と述べました。そして、「本日の対話では、両国を代表するパネリストが、非常に建設的かつ深い議論をして、良い提案も多くなされていた。このようなプロセスこそ両国の相互理解を深めるものであり、両国関係の発展に大いに資するものであると確信している」と期待を述べました。

030A1426.jpg キム・テヨン氏(韓国戦争記念財団理事長、元国防長官)は、国民が知識、情報を多く持つ現在において、リーダーシップを発揮することはある意味で困難であるが、重要なのは、安易に国民の意思に合わせていくようなポピュリズムに陥ることなく、正しい方向に導くことが重要であると述べました。そして、日本と韓国の国民感情にあるお互いを信頼できない部分に対して、今回の対話に参加した方が積極的に国民を説得していくことが重要であると語りました。

030A1443.jpg 中谷元氏(衆議院議員、前防衛大臣)は、「今回の議論を通じて、韓国から日本を見ることができ、視野が広がったが、最も参考になったのは過去、現在、未来の視点から日韓関係を見なければならないということだった」と感想を述べました。そして、7世紀代に、高句麗の王が日本に渡り、開拓したことが埼玉県日高市の高麗神社の機縁となっていることを紹介し、「これは、当時の朝鮮半島の安全保障問題が日本の大化の改新に繋がったと言える。未来を見据える上では、現在の東アジアの安全保障の課題である北朝鮮のミサイル・核、中国軍の動きに対して日韓両国が協力することが重要であり、良い安全保障体制をつくっていきたい」と抱負を語りました。

030A1449.jpg 続いて、今回より韓国側の共催団体となった韓国高等教育財団(KFAS)のパク・イングク氏(韓国高等教育財団総長、元国連大使)は、財団として、初めて日本からパネリストを招き、議論を行うことができたとして、日本側の参加者に感謝を述べました。そして、これまで中国との対話を多く行ってきたが、今後は日本との対話を通じて、日本を交えた対話も展開していきたいと、今後の展望を語りました。

030A1461.jpg 言論NPOのアドバイザリーボードの藤崎一郎氏(上智大学国際関係研究所代表、前駐米大使)は、「言論NPOは様々な側面を持つが、今や、政治家、実務家、研究者など様々な方を繋いでいくNetworkと、中国から始まり、韓国、アメリカ、東南アジアなど各国との対話を展開するPerspectiveを持つ"New Powerful Organization"になりつつある。韓国との関係を続け、皆さんの協力の下、ますます重要な会議にしていってほしい」と述べました。

 続けて、両国の主催者から謝辞が述べられました。

YKAA0280.jpg イ・スクジョン氏(EAI院長)は、まず、韓国高等教育財団をはじめ、日韓未来対話及び日韓共同世論調査に協力頂いた方に謝辞を述べました。そして、21世紀に発足し、ネットワーク型のシンクタンクであるなど言論NPOとの共通点を述べ、言論NPO側からのパネリストの連絡を受け、直前まで人選を進めたにも関わらず、イ・ホング元国務総理、ユ・ミョンファン、キム・テヨン元長官をはじめ多くの方に参加頂き、充実した対話ができた。次回の東京での成功を期していると述べ、挨拶を締めくくりました。

YKAA1556.jpg 最後に、言論NPO代表の工藤泰志は、韓国で学ぶ日本人留学生や韓国人学生のボランティアが今回の議論を記録してくれたことに感謝しつつ、北東アジアで始まった市民の議論をウェブにアップし、また英語に翻訳し、世界に発信していくと述べました。そして、「言論NPOは、課題解決の意思を持った世論にバックアップされた健全で、平和的な外交を作るために『言論外交』を展開している。東アジア研究院、韓国高等教育財団をパートナーに、今後も日韓の対話の舞台を作っていきたい」と意気込みを述べました。

 その後、レセプションは、和やかな歓談の後に閉幕し、「第4回日韓未来対話」の全てプログラムが終了しました。