参加者:
小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐韓国大使)
添谷芳秀(慶応義塾大学法学部教授)
藤崎一郎(上智大学国際関係研究所代表、元駐米国大使)
司会:
工藤泰志(言論NPO代表)
工藤:言論NPOの工藤です。今、ソウルで開催されていた「第4回日韓未来対話」が終わりました。そこに参加していただいた中核的な3人の、小倉和夫・座長、藤崎一郎・前駐米大使、添谷芳秀・慶応大学教授に集まっていただきました。今回で対話は4回目になりますが、私たちは事前に世論調査を行い、その中で相互理解や、北東アジアの中での平和というものをお互いに考えていけるような課題解決型の対話を目指しています。
そこで今回行われた対話を皆さんはどう思われたのか、ということを総括したいと思っています。まず、小倉さんから、今回の対話をどんな風に総括されていますか。
今後、中国に対する日韓間の対話が、今まで以上に必要になるだろう
小倉:この対話は日韓「未来」対話というのですが、日韓は相変わらず、「過去・現在」対話になっていて、未来対話にはなかなか、ならなかったように思います。その理由の1つは、韓国側には、事柄の道徳性を非常に強調する伝統というようなものが依然として残っていて、政治外交でもそういう文化が出てきます。今回の対話は、外交、特に安全保障協力ということが主たるテーマの1つであったために余計、そういう道徳性という問題が表に出てきたと思います。
もう1つは、日本と韓国の間の世論調査結果の大きな違いとして工藤さんも何度も指摘されていますが、中国に対する意識の違いがあります。これは全体として非常に議論があったところですが、議論がどうも噛み合わなかったように思います。仕方ない部分もあるのですが、私が個人的に非常に感じたのは、バランス・オブ・パワー論というのが韓国の千年来の伝統なのですが、韓国は北朝鮮の問題もあり、また、朝鮮半島全体としては中国と国境を接していることもあって、中国の台頭とアメリカの相対的な減退というものを踏まえて、中国とどのようにして戦略的に付き合っていくかが極めて大きな関心の的であるのです。そのこと自体は、必ずしも良くないことではありませんが、その結果として、日本と中国に対する韓国の見方が客観的かどうかという問題が出てきます。これから先は、中国問題についての日韓の対話というものが、今まで以上に色々なレベルが必要なのではないかと思いました。
日本と韓国で異なる、中国に対する力点の差
藤崎:大変良い会議で、充実して凝縮した1日でした。今回の対話で浮き彫りになったのは、北東アジアにおいて数年前には無かった3つの大きな問題が出てきた、ということだと思います。1点目は、北朝鮮がすごくおかしい方向に走り出している、どんどん核実験やミサイル開発をやり非常に大きな脅威になりつつあること。2点目は、中国が南シナ海で見られるように、海洋軍事大国になって、ルールを無視する体制になっていること。3点目は、大統領選がどうなるか、という点はありますが、アメリカが非常に内向きなっている傾向が見られること。この3つが北東アジアにおける大きな変化だと思います。
それに対して、1番目の北朝鮮の問題と3番目のアメリカの問題については、日韓間で懸念を共有することができます。しかし、2番目の中国については、今、小倉さんも言われたように日韓間で少し差がある。韓国にとって中国は重要なパートナーであり、日本はそれを十分認識していないのではないか、歴史問題などもあって日本の認識は不十分なのではないか、という感じを韓国人は持っている。それに対して日本人は、これは規範の問題で、どのようにして国際的なルールを守っていくかという時に、それを守っていない国に対してみんながどうするのかという基本的な問題ではないか、ということで若干のニュアンスの差がある。ですから中国に対しては、日本に取っても韓国にとっても大事なパートナーであることには変わりはないのだけれども、力点の置き方が若干違う部分があるというのは、いま小倉さんの言った通りですが私も感じました。
もう1つは、今回、色々な方が述べられましたが、知的交流と同時に若い人の交流を進めなければならない、それをどう進めるかということが日韓間のかなり大きな課題ではないかということが、かなりシェアされたんじゃないかという感じを持ちました。
今回のような対話は、韓国人・日本人がともに相手国を学ぶ場となる
添谷:極めて全般的、一般的な感想ですが、韓国は幼少期から、韓国のいう独島問題を材料にして、自然に育っていくと反日になるという構図の中で、皆さん自意識を形成していくわけです。こういう会議の意味というのは、そこから彼らが抜け出すプロセスとしての意味合いが非常に大きいのではないかと思います。抜け出せない人ももちろんいますが、「何かおかしい」と問題意識を持った人たちが色々なことを考える。具体的には日韓協力がなぜ重要であるかということを考えるようになる。私は韓国に我々が与えるインパクトしては、それが一番重要な効果であると思います。今回も、そういう現象はあったと思います。
それから日本側の問題でいうと、藤崎大使がおっしゃったことですが、韓国の対日認識として軍国主義だとか覇権主義だとかいうことが世論調査の結果として非常に大きい。それを初めて見る日本人は、びっくりしたというわけですけれども、その反応に対して藤崎大使は、「韓国のことを考えればある意味当然ではないか」とおっしゃっています。これを当然だというような理解が日本側にあるかないかというのは、韓国との付き合い方の中で重要な違いになると思います。日本側にもそういう意味での学びの場ということになると思います。しかしそれは、真の意味で未来志向の対話をするための言わば前提条件であって、その前提を整備するところでまだ右往左往しているというのが、残念ながらこういう対話の現状でもあり、小倉大使もおっしゃったように、やはりどうしても先に進めないという問題に直面しているのだと思います。
しかし、これは継続して地道にやるしかないので、今年は4年目でこの対話を工藤さんが何年続けるつもりかはわかりませんが、体力の続く限り継続することは大事だと思います。それから、メンバーもいろいろな人を混ぜるといいと思います。なんとなく初期段階のような人と、もう卒業したような人を両方混ぜて、それでどういう議論が形成されるのかを継続的に見ていき、なおかつ演出していく、そんな一側面であったなという気がします。
工藤:今回の対話を見ていて、今の御三方みたいな方が入っていたことが良かったと思います。非常に論理的で、しかも今の課題をきちんと定めている。藤崎さんがおっしゃったようにアジアが大きく変化している中で、それに対してしっかり向かい合っていく環境というものを作るためには、お互い語れないとダメだと思いました。そういう点では、日本側はかなり語ったと思います。
私は今回の世論調査結果を見て、今までと少し違うことを考えました。専門家の人たちから見れば当たり前なのかもしれませんが、国民の中に、ある意味で疲れが出ている。具体的に言うと、中国にかなり依存している韓国に対して、日本人は私たちと同じ自由の陣営とは、少し違うのではないかと感じている。外交青書の2015年版からそういう価値観の記述が外れた時に議論になりましたが、そうしたことが、必ずしも正しいとは言いませんが、雰囲気を代弁、象徴していたなと思います。しかしそれでいいのだろうか、と私は思いました。つまり、韓国には韓国の事情があると思うので、それをお互いによく話し合って、なんとかこれからのベースを作らないと、日韓間で「未来対話」というのはもうできないのではないかというくらい、本当に危機感を持ちました。それで韓国側に提案したところ、彼らから中国の問題を表でやるのはなかなかやりづらいので非公開会議をやりたい、との申し出がありました。私たちはあくまでオープンで多くの国民が考える対場として対話を設計していますが、今回は2回ほど非公開の会議を行いました。その議論の中でかなり突っ込んだのですが、非公開会議の中でお互い、特に中国をめぐる問題や、アジアの将来を考えた時に、本音レベルの手がかりや次のベースになる何かを感じられましたか。
朝鮮半島統一が、比較的近い将来に起こりうるという前提で話が進むことへの驚き
小倉:私が少しびっくりしたのは、朝鮮半島の統一ということを何人かの人が言ったことです。将来の遠い目標として統一ということをいうのはある程度、理解できるのですが、聞いていると、そう遠くない将来のこととして統一問題が必ず出てくるので、それに対して日本はどう対処するのか、というような話が出ました。今の彼らの前提は、北朝鮮が潰れる、あるいはそれに近い形での統一であり、いわゆる韓国的な意味での統一です。それが比較的近い将来にありうるという前提で話が進んだことに、非常に驚きを感じました。というのは、この1、2年、私が北朝鮮のことばかり研究していたせいもありますが、北朝鮮の社会がものすごい勢いで変化しているのです。それから、私は議論の中で少子化や高齢化の問題を出したのですが、韓国は2018年には老齢人口が15%になる。そうすると、もし北朝鮮を一緒にしたら、韓国経済は持たないのです。いかなる統計をとっても持たない。要するに、韓国経済にとって統一というのは致命的なことになるわけです。ところが、そういうことが十分に考えないで、北が潰れるという前提で比較的統一の話をする人がいるということ自体、私はびっくりしました。
もう一つの大きな問題として、未来を語るときにビジョンということを言うのだけれども、日本が理解しなければいけないのは、韓国にとっては統一というのは頭の底から離れない問題だということです。それは理解しておく必要がある。一方で韓国に言いたいのは、日本の場合は国家ビジョンというのは、安全安心社会を作るとか高齢化社会というような話であって、中国の台頭によって日本全体がどうなるかというようなことは、一部の人は考えたとしても、今の日本で普通の国民は考えないということです。つまり、韓国の持っている将来への夢とか懸念というものと、日本社会との間に巨大なギャップがあるのです。日本では、統一というような巨大なビジョンを出すということは全然無いので、その辺りを理解しておかないといけない。中国への接近だとかそういうことも結局、国家ビジョンの問題と結びついてくる。そこが非常に感じたところですね。
工藤:今回の議論を聞いていて、私も勉強になったことがあったのですが、小倉さんが言っていた、日米安保ということはグロバール的なもので、日米でやっている集団的自衛権もアメリカをベースにした形での共同行動の展開なのですが、韓国はその中で、日本の軍国主義だけを取り出して、憲法改正、集団的自衛権を含めた形で日本が昔みたいになってしてしまう、というような議論がある。こうした点を、添谷先生はかなり論理的に説明されていたので、彼らに非常に考えるきっかけになったのではないかな、と勝手に思っていたのですが、いかがでしたか。
「安倍首相が嫌い=全ての政策がダメ」という発想に対して、日本も論理的な説明を
添谷:いわゆる韓国の典型的なフレームワークから抜け出すプロセスにある人には、考える材料になるのではないかと思います。ただ、抜け出せない人には通じないのではないかとも思います。
世論調査にもありましたとおり、彼らは安倍首相に対する印象は非常に悪いわけですが、その延長線上ですべてを考えているわけです。つまり、安倍首相がやったことだから、こうに違いない、という感覚の反応というのが日本脅威論的な世論の発想だと思います。ただ、日本で起きていることは、安倍首相の個人の思想や信条はさておいて、実際に政治的なプロセスを経て出てくるアウトプットとしての安全保障の政策や法律というのは、日本は憲法や日米安保、歴史の重みもそうですが、一定の制約のもとで動いていますから、一定のところに収まらざるを得ないわけです。ですから、今回、成立した安保法案も集団的自衛権の問題にしても、会議でも言いましたが、国連憲章51条に基づく集団的自衛権を100%とすれば、今回の安保法制の結果、日本が行使できるようになった集団出来自衛権の領域というのは、せいぜい50%、ひょっとしたら2、30%かもしれない。そうすると、韓国の脅威になるはずはないのであって、なおかつ、100%日本が行使したとしても、国連憲章に基づく集団的自衛権というのが本質ですから、日本の単独行動のための材料にはなりようがないわけです。ですから、そういった論理は日本側も必ずしも明示的に整理して、対外的に説明しているかと言われると、そうでないお寒い状況も残念ながらあると思いますが、韓国の人にその論理が通じる人々というのは着実に増えていると思いますので、そういう意味では、考えてくれる人も少しは増えたのではないかなと思います。
工藤:藤崎さんは、今回、初めて来ていただいたのですが、中国についての説明は非公開会議でもたくさんあったのですが、納得されましたか。
非公開対話で議論した中国に対する韓国側の本音
藤崎:中国との関係で私は、一般の日本人から見ると、韓国について分からないことが3つあると指摘しました。1つは、歴史問題を日本に対して提起することで、中韓が結びつく面があるのですが、朝鮮戦争はどこに行ってしまったのかと。朝鮮戦争では、中国は北朝鮮をずっと応援して、韓国に侵攻していったではないかということがあります。もう1つは、価値観の問題です。これほど百家争鳴、自由な国で、政府批判をみんなが行っている国で、それを許さないような国との価値観の違いをどういう風に考えるのか。それから、3番目は南シナ海の問題について。じつは、日本のGNPの中で、貿易の占める割合は10%ぐらいのものですが、韓国の場合は40%ぐらいあり、貿易依存度が日韓では全く違います。そうした韓国のような国にとっては、シーレーン、シーラインのコミュニケーションというのは極めて重要です。また、どの国にも中国との関係は大事だし、我々日本医にとっても大事なパートナーですが、今言ったような問題については、日韓間で当然違いがあるはずなのですが、その点があまり表面化していないのはなぜなのか、という提起をしたのに対して、「それは我々も思っているのだ」というわけです。そうした発言をオープンに言えるのかはわかりませんが、国内でも十分な議論があって、その点は承知の上でやっているのだよ、というような説明があったというのが印象的でした。
工藤:私は自衛隊と国防関係者の発言は非常にリアルで、納得できるものがありました。その人たちと話しても、なんとなく表ではなかなか言えないと言っていました。韓国国内で、日韓が仲良くしていくことに対して、世論が抵抗しているような気がします。そうした中で、本気で言えないような不自由さを感じたのですが、それは勘違いなのでしょうか。
小倉:そんなことはないと思います。というのは、韓国語ではマスコミのことを「オロン」と言います。ところが、「オロン」というのは、まさに「言論」なのです。だから、意見を言うのが韓国のマスコミですから、報道機関ではなく、世論啓発、ないしは世論扇動機関なのです。従って、どうしても道徳性とかいうことで判断するから、ニュース番組自体に客観性がなく、韓国のテレビ番組を見ていると、日本では考えられないような発言が出てきます。ですから、工藤さんがそのような感じを持たれたことはよくわかります。
工藤:僕たちがやっている民間対話ということは、まさに世論というものを大事にして、多くの市民がいろいろな問題を考える基盤を作りたい。もちろん、議論をオープンにする中で、難しい問題も出てくると思いますが、そうした問題を乗り越える努力はやろうと思っていました。しかし、韓国側からは対話の在り方についての考え方そのものが、上から目線的で、世論を変えなければいけない、メディアを変えなければいけないとか、そういった声が何回か出されて私も驚いていたのですが、どういう現象なのでしょうか。
日本のことに関して、型にはまらない発言が出るなど、新しい変化も存在する
藤崎:今日の議論で、韓国のメディアの方も、自分たちも初めから日本についての議論には枠があって、こういう型に当てはめて考えてしまう癖があるということを率直に言っておられました。私は、皆さんの前であの発言ができるというのは、非常に立派だと感じました。
工藤:確かに、メディアの人や学者の人たちは、かなり積極的に発言していましたし、日本から見ても非常に良い感じで、バランスがとれていた感じがしました。ただ、オープンになると、それ以外の人が発言しなくなってしまう。日本は防衛大臣経験者の中谷さんや、外務副大臣などもいたのですが、韓国側はなかなか発言しませんでした。
添谷:日本問題になると、韓国では親日派というレッテルが貼られると、色合いが突いてしまうわけです。それを嫌がるということがあります。ただ、これも変化という点でみれば、昔ほどではなくなってきたと思います。例えば、先ほど話題に出た、韓国側のマスコミに方の韓国的に言えば勇気ある発言でしょうが、そういう発言は必ずしも不可能ではなくなってきているという新しい変化はあると思います。ただし、もちろん気を付けて言わなければいけない。それで怪我をすることはあり得るし、政治家などは政治生命に影響を及ぼすような結果になる力学、構図というものがあるわけです。ですから、これは理屈ではなくて、身の処し方として、染みついているのだということが前提にあって、だけどそれも、少しずつは変わっているという認識も同時に大事なのではないかと思います。
工藤:私たちは世論というものを健全なものに、課題解決型にしたいと考えています。しかし、その世論を恐れる状況がまだある。しかし、それが着実に変わってきているのだということに期待すべきだというお話でした。
さて、私たちは、この韓国との対話を4回にわたって行ってきたのですが、ようやく今年、初めて未来の議論に迫りました。今後、この対話をどのように発展させればいいのか、ということを最後にお伺いしたいと思います。
課題解決に向けて真剣に対話ができるプラットフォームに
小倉:日本と韓国が将来を考えるときに、一番考えなければいけないのは人口の問題だと思います。安全保障の問題はもちろん大事なのですが、今日の対話はみんなの意識が中国だ、やれアメリカだということに集中してしまった。確かに、それも国際政治という中で言えば大事なことですが、社会の在り方を考えたときには、やはり少子高齢化の問題にどう対処していくのか、ということは韓国も日本も、そして中国も同じだと思います。
我々が調べたところによれば、実は北朝鮮も2030年には高齢化社会に到達します。労働人口は北朝鮮ですら既に頭打ちです。したがって、東アジアの人口動態の変化ということは巨大な意味を持っているので、そういう問題について、何を考えているのか、どういう政策をとったのか、といったところからも話ができるようなフォーラムに、少しでも育てていって、市民一人ひとりにとって近い問題なのですが、同時に国際的な意味を持つような、そういうテーマについて、もう少し話せるような場にしたいと思います。
工藤:評論家としてではなく、課題解決のテーマとして真剣に議論ができるような対話のプラットフォームに育てなければいけない、ということですよね。
藤崎:会議の中でも、若い人の交流をどういう風にやっていくかという話がありました。できれば交流計画をきちっとしたかたちで中学生、高校生、大学生とかいろいろ言いましたが、このフォーラムにおいては1つの案として若い人だけのセッションを例えば午前中なり、前日にやってみる。別に日本から連れてこなくてもソウルにもたくさん留学生、若い社員がいて、40歳以下とか、35歳以下のそういう人たち同士で議論してみる。そしてその結果をここにもフィードバックして、また議論するということを若い人を巻き込んでいくという姿勢から見て、やはり私は意味があると思います。もう1つは、われわれの中で一定の常識だと思っていて、議論していないようなことがまた出てくる可能性もあるので、私は聞いてみたいと思います。
工藤:確かに去年まではそういう若い人や女性がパネリストにも多かったのですが、今回女性は深川先生とイ・スクジョンさんしかいなかったので、男だらけになってしまいました。添谷先生は、この対話は今後どういう風に発展させるべきだと思いますか。
添谷:1つはやはり、続けるというのは1つのスタンスでしょうが、急激にパラダイムシフト的なものが起きてほしいと思いますし、また考え方によってはそういう土壌というか潜在性は着実に育っているような気がします。ただ、それを引き起こすためにはやはり重要な一突きがなければならないので、その一突きがあまり起きそうもない。逆に、特に政治の世界はむしろそこから後戻りするような力学がたまに出てくるわけで、そういう意味では歯がゆいと言えば歯がゆいのですが、中長期的には良い方向に向かっているということは間違いないと思うので、そういう意味で地道にやっていくことが必要だと思います。
加えて、若手に期待をするというのは正にそういう話だと思います。今日やったような議論は、若い人の方が通じるというか、吸収する潜在性というのは高いと思うので、若手をターゲットに何らかの形で組み込んでいって、継続していくというのはやはり重要な1つの発想になるのではないかと思います。
工藤:わかりました。藤崎さんが冒頭に言われたように、環境がかなり変わって、急激に動いてきているものの、一方で将来に対して非常に不安感がでている。だからと言って焦るわけではありませんが、日韓関係というものを着実に固めながらそういう課題に挑んでいけるようなそういう対話にこれからも発展させたいと思います。
今日は本当に皆さんお疲れ様でした。これからもがんばりますのでよろしくお願いします。