「第13回 東京-北京フォーラム」の事前協議終了後、記者会見が開かれました。日本側からは本フォーラムの実行委員長である明石康氏(国際文化会館理事長、元国連事務次長)、同副委員長の宮本雄二氏(宮本アジア研究所代表、元駐中国大使)、同運営委員長の工藤泰志(言論NPO代表)が、中国側からは主催者である中国国際出版集団の張福海・総裁、王剛毅・副総裁と元中国社会科学院日本研究所所長の李薇氏が参加しました。
冒頭、王剛毅氏から、メインテーマは「より開放的な国際経済秩序とこの地域の平和の向けた日中協力」となったこと、開催時期は12月を予定していること、日中両国の相互理解について議論すること、「政治・外交」、「経済・貿易」、「メディア」、「安全保障」の4分科会に、「特別」対話を加えた5つの分科会で構成することなどで日中両国が合意したと発表しました。続けて、昨年のフォーラムで合意した安全保障対話の常設化についても、設置を推進していくことに同意したことを紹介しました。
最後に、王剛毅氏は「日中国交正常化45周年という機会をとらえて、中日両国は実務的な交流を通じ、民間シンクタンクならではの特別な成果を求めていく」と語り、「第13回 東京-北京フォーラム」の概要を説明しました。
続いて工藤が次のように、今回のフォーラムの重要性を強調しました。
「私は現在の世界環境の変化に注目している。今こそ日中の新しい協力関係を構築する必要があると考える。そうした中、今年のフォーラムでは2017年は日中国交正常化45周年、2018年年は日中平和友好条約締結40周年という節目の年に、民間に何ができるか議論したい。そして、我々は平和と安定を考え、議論することを世界に発信していく。
また、安全保障安保対話の設置については、基本的に合意に達した。来年は新しい『宣言』を考えたい」と語り、今年のフォーラムにかける意気込みを語りました。
世界の変動に対し日中は共通の利害を持っている
2人の説明を受け 詰めかけた記者からは活発な質問が寄せられました。その中で目立ったものをご紹介します。
記者:13回目の「東京-北京フォーラム」の意義は?
張福海総裁:「東京-北京フォーラム」の両国の交流発展への貢献は大きい。現在、中日関係に改善の兆しは見えているが、その基盤は弱い。正常な発展関係に戻るべきだ。そのためにも「東京-北京フォーラム」を通じ両国の交流を促進し、有識者が議論することで、民意の基盤を構築したい。
記者:日中国交正常化45周年に開催される「東京-北京フォーラム」は、今までの「東京-北京フォーラム」とどこが違うのか。
李薇:中日関係は、重要な二国間関係だ。双方政府の合意をチャンスとしてとらえ、ネガティフな事柄を改善していきたい。また、世界の変化に対応して行く際に、中日双方は共通の関心事、課題を抱えており、協力していきたい。
記者:安全保障の常設対話について、もう少しくわしく説明してほしい。
工藤:これから起こってくる世界情勢の変化に対応するには、日中は新しい関係構築に取り組まなければならない。経済面では協力しているが、安全保障面では敵対している。将来は安全保障面でも協力が必要だ。安保保障対話の常設化は、昨年、東京で開催した「東京-北京フォーラム」での合意を具体化したもので、詳細はこれから決定していきたい。
記者:なぜ「より開放的な国際経済秩序とこの地域の平和の向けた日中協力」というテーマを、アジェンダに設定したのか。
王副総裁:グローバル経済は変化している。自由貿易、グローバルゼーションなどを含め、どうやってこれからの世界秩序を考えていくか。こうした課題に対して双方がどのように協力していくか。そして、Win-Winの関係を考えていくことが中日両国に必要だ。中日両国がどのようにしてアジアの平和に貢献していくか、アドバイス、提案を行っていくために、このテーマを設定した。
さらに、記者から「世論調査は毎年刺激的な内容になっている。よりバランスのとれたものに改善することは考えないのか」と問われたのに対して、工藤は日中関係に対する世論調査の結果は基本的には厳しいし、メディアはその厳しい面しか報道しないと指摘しました。その上で、昨年の調査でも、日本に訪問経験のある中国人の対日感情は一般に比べて、はるかに良いなど、好転している面もあるとして、「調査結果をよく見て、良い面も報道してほしい」と、メディアへの注文も忘れずに述べて、記者会見は終了しました、
今回の事前協議を経て、「第13回 東京-北京フォーラム」の準備が本格化していきます。今年のフォーラムの取り組みにつきましては、随時ホームページにて報告していきますので、引き続きぜひご注目ください。
※本事業は、独立行政法人国際交流基金(知的交流会議助成プログラム)から助成を受けています。