5月25日、言論NPO八丁堀オフィスで「安全保障会議」の第1回会合が開かれました。4月に訪中した「東京-北京フォーラム」日本側代表と中国側が、同フォーラムの分科会の一つである外交安全保障分科会を常設化(常設安全保障対話)することで合意。安全保障会議は常設安全保障対話の母体となるものです。
第1回準備会合には、言論NPO代表の工藤泰志の他、宮本雄二氏(宮本アジア研究所代表)、香田洋二氏(ジャパンマリンユナイテッド株式会社顧問・元自衛艦隊司令官)、德地秀士氏(政策研究大学院大学シニア・フェロー、元防衛審議官)、西正典氏(日本生命保険相互会社特別顧問、前防衛事務次官)のあわせて5名が出席しました。
会議の冒頭、代表の工藤泰志より、日本側の安全保障会議常設化の目的や、今後のスケジュール、予想されるテーマなどについて説明がありました。その後に行われた意見交換では、北朝鮮問題や、中国の外交政策、アジアで構築すべき平和秩序などについて話し合いがなされました。日中合同の常設安全保障対話は年2回、「東京-北京フォーラム」も合わせると計3回の実施を目指しています。
この常設安全保障対話会議は、最終的には北東アジアの平和と発展を実現するための多国間協議メカニズムの創設という高いゴールを目指していますが、会議に通底していたのは、理念や原則だけではなく現実に起こっている問題をきちんと認識し、まずはお互いが意見を言い合うことで、「実務的」な解決を目指す必要があるとの認識でした。その背景には、中国の膨張的な対外政策や日米安保に対する双方の理解やコミュニケーションが不足しているという問題意識があります。出席者からは「現実の中国の軍備増強の意図を問いたださないと、いくら理念や先々の理想図を描いても、なーんだ実現性がないということになってしまう」との指摘もなされました。
最終的に、今日の北朝鮮情勢の悪化も踏まえ、できるだけ早い時期に第1回の常設対話を開催することで合意し、準備会合は終了しました。
言論NPOでは今後、「東京-北京フォーラム」の準備と並行し、日中の常設安全保障対話も随時開催してまいります。内容はウェブサイトでも随時お伝えしていきますので、ご注目ください。