2017年1月9日より、言論NPO代表の工藤泰志はアメリカ・ワシントンDCを訪問しています。今回の訪米では、1月20日のトランプ新政権発足を前に、共和党幹部をはじめ米シンクタンク関係者との面会し、新政権下での世界秩序や国際規範の行方、自由貿易に対する変化、今後の日米関係について意見交換などを行う予定です。
まず、工藤は新政権とも関係の深い共和党全国委員会で財務委員長を務めるトニー・パーカー氏と面会。言論NPOが10年以上にわたり実施してきた北東アジアでの平和構築に向けた取り組みや世論調査について紹介し、トランプ新大統領の下での日米関係の行方と北東アジア情勢について意見交換を行いました。
この中で工藤は、昨年の大統領選時のトランプ氏の日本に対する発言を踏まえ、「両国間で真の意味での相互理解が欠けているのではないか」と指摘。さらに工藤は、日本人の6割が今後の日米関係について「懸念している」との世論調査結果を紹介しながら、日米間では安全保障だけではなく、様々なグローバル課題について議論を行う対話の枠組みが必要ではないかと強調しました。こうした枠組みの必要性に対してパーカー氏は賛意を示した上で、今後行われる対話への自身の参加も含め、様々な形で協力していく意向を示しました。
次に工藤は、経済、安全保障の分野を専門とするシンクタンクの関係者を訪問しました。
はじめに面会した戦略国際問題研究所(CSIS)では、アジア経済シニアアドバイザーのマシュー・グットマン氏を訪問し、トランプ新大統領の下での世界自由貿易体制の行方や米国の方針について意見交換を行いました。
工藤は、トランプ氏がツイッターを通じて行う貿易や関税に対する発言が、日本や中国との様々な摩擦を生むこと、さらには世界貿易システムの亀裂につながることについての懸念を示しました。これに対してグットマン氏は、工藤の懸念について同意すると共に、米国経済自体も中長期的には成長が難しくなるのではないか、との可能性を指摘しました。
次に訪問したニクソンセンターでは、アジアディレクターのウォレス・グレッグソン氏(元米海軍中将)と会談し、今後の北東アジアでの安全保障環境の変化や日米の安全保障面での協力について議論を交わしました。
その後、国務長官経験者や安全保障担当補佐官経験者が多数参加しているシンクタンク「アトランティック・カウンシル」を訪れ、ブッシュ政権及びオバマ政権において、国家安全保障会議(NSC)の国防担当上級部長や大統領特別補佐官も務めたバリー・パーベル氏と面会し、今後の国際秩序やリベラルデモクラシーについて意見交換を行いました。
その後、工藤はロイター通信の新オフィスにてエディターのケビン・クロリッキ氏と面会し、トランプ新大統領と既存メディアの関係や、報道の在り方について議論を行いました。さらに、マンスフィールド財団と米国笹川平和財団の若手研究者とのワーキングランチにもスピーカーとして参加し、これまで言論NPOが行ってきた日中・日韓での2国間世論調査や日米中韓4カ国の多国間世論調査の結果を紹介しながら、今後の北東アジア情勢について意見交換を行いました。
1月10日にはオバマ大統領の最後のスピーチが行われ、翌11日にはトランプ新大統領の初めての記者会見が行われるなど、米国に世界の注目が集まる中、工藤は9日、10日の両日、日本をはじめ世界が懸念する課題について各界の識者と有意義な意見交換を行いました。その後も、ワシントンに滞在し、様々な意見交換を行います。
訪米の模様は随時、言論NPOのホームページで公開していきますのでお楽しみに。