第14回 東京―北京フォーラムは10月14日から2日間にわたって東京で行われ、日中両国を代表する有識者、政治家、経営者、ジャーナリスト約100氏が、両国が直面する政治、経済、安全保障の課題や困難に真剣に向かい合った。
私たちが、今回の対話に特別な覚悟で臨んだのは、今年が日中平和友好条約締結40周年という記念すべき年という理由だけではない。世界で、公正、自由で開放的なルールに基づいた経済秩序が不安定化し、このアジアでも朝鮮半島の非核化や平和に向けた歴史的なチャレンジが始まっているからである。
私たちが、日中平和友好条約を含む4つの政治文書を高く評価しているのは、両国がアジアや世界の平和、安定、発展に「厳粛な責任を負う」という強い認識を共有しているからである。今こそが、その歴史的なチャレンジに「責任」を果たすべき局面なのである。
私たちは5年前の対話で「不戦の誓い」を合意し、その決意を世界に公表した。今回の合意はその決意に続くものであるが、より積極的なものである。
平和および経済の協力発展は、紛争を自制し、経済的な困難に向かい合うだけで実現するものではない。私たちは、このアジア地域に平和の秩序を作る覚悟を固め、そして第三国市場における協力とイノベーションに関する協力を一段と強め、ルールや多国間主義に基づく世界経済発展のために力を合わせるべきである。
私たちは「民間の外交」には、政府間の困難を乗り越え、新しい協力の土台を作る特別の役割があると考える。この14年、日中両国が厳しい困難に直面する中でも、一度も中断せずに対話を継続し続けたのもそのためである。
私たちはこうした強い思いからこの二日間、真剣に議論を行い、以下の合意をまとめた。
私たちは、北朝鮮で始まった完全非核化に向けた現在の外交努力を支持し、それが平和的に実現することを求める。この努力が、朝鮮半島の非核化と平和の構築という歴史的な事業となるためには、日中双方がより協力を深めることが必要である。
私たちはこうした平和プロセスを、北東アジア全域の平和秩序の建設につなげるべきと考える。そのためにも私たちは多国間協議の環境づくりに民間として取り組む。
2.世界の自由貿易を巡る状況は一層深刻化し、今や自国第一主義は世界経済の脅威となっている。日中両国が、保護貿易に反対する立場から、より開放された、ルールに基づく自由貿易体制や、多国間主義に基づく国際協力を推進するために協力する重要な局面である。
そのためには電子商取引も含めた新しい公正なルールが機能できるWTO改革や、自国の経済構造改革に、両国は取り組むべきである。
また、日中両国はこの東アジア地域で日中二国間、あるいは多国間の経済連携を実現させ、貿易と投資の交流をより促進するべきである。
3.40年前の日中平和友好条約から学ぶべき今日的な意味は、どんな対立や課題もその解決を軍事的な手段に求めず、戦争に道を開くどんな行動も選ばない、という「不戦」の決意と、「覇権」に対する強い拒否の姿勢である。私たちは、この先人の強い意志を引き継ぎ、これを、これからの東アジアの行動の指針としたい。
そのため不戦と反覇権は、日中それぞれの行動を拘束することをまず再確認する必要がある。その上でそれを東アジアの地域全域の共通原則にするための作業をまず民間レベルで始めたい。
4.この東アジア地域では有効な危機管理メカニズムがまだ十分に機能しておらず、偶発的な衝突が予期せぬ紛争に発展する危険性が未だに存在する。
両国の首脳の努力で一部は実現できたが、これをさらに高度化させ、危機管理や事故防止のための定期協議や、海上法執行機関を含めたより大きな危機管理のメカニズムを早急につくらなくてはならない。
5.こうした東アジアの平和や協力発展に向けた様々な努力は、両国の有識者だけではなく、一般の国民に幅広く支持される必要がある。日中がアジアの未来を共に創るためには、両国民間に冷静で長期的な視野を持った議論が広がることが不可欠であり、それこそが政府間外交の環境づくりにつながると考える。
私たちは、14年間にわたって継続したこの民間対話の歴史的な使命を再認識し、日中の新しい協力関係の土台をつくるために、建設的な役割を果たし続ける。
中国国際出版集団