「第14回東京-北京フォーラム」記者会見 報告

2018年10月15日

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 「第14回 東京‐北京フォーラム」の2日目全体会議終了後、記者会見が行われました。

YKAA0537.jpg 冒頭、日本側主催者を代表して本フォーラム実行委員長の明石康・国際文化会館理事長は、今回のフォーラムでAI(人工知能)が度々話題に上ったことを踏まえ、「AIが急速に世界を変えつつある」と指摘。しかし同時に、このAIが進化したとしても日中間に横たわるすべての問題を解決してくれることはないと予測。したがって、「結局、日中の人間同士の対話を続け、相互信頼を構築していくという大変気の遠くなるような作業をこれからも続けていくしかない」と覚悟を示しました。

 さらに明石氏は、「そういう意味で、今回のフォーラムでは相互信頼構築に向けて胸襟を開いた議論ができたと確信している」と手ごたえを口にしました。日中平和友好条約にある「反覇権」の問題についても、結論が出たわけではないのでこれからも議論は続くとしながらも、やがては相互信頼に基づく相互理解の実現も「絵空事ではないと感じた」と今回の議論を振り返りました。

ch.jpg 中国側からは、指導委員会委員の趙啓正・中国人民大学新聞学院院長が発言。これまで14回すべてのフォーラムに参加してきた趙啓正氏は明石氏と同様に、今回の対話では大きな収穫があったことを強調。「関心事はすべて議論できた。また、空想や単なるスローガンではない、真心のこもった意見が相次ぎ、世界の手本となるような対話となった」と語り、各パネリストを手放しで称賛しました。

 そして、「新たな高みが日中関係の目の前に来ている。新たな協力の可能性が広がっている。世界にとって模範的な二国間関係にしていきたい」と今後のフォーラムに向けた強い意欲を示しました。


 その後、会場に詰めかけた国内外の多くの記者との質疑応答に移りました。


民間が政府に先鞭をつけた「覇権」論議

miya.jpg 1978年当時とは時代背景が変わっている中、改めて「反覇権」を盛り込んだ「東京コンセンサス」の現代的な意義について問われた宮本氏はまず、「覇権についてこれほど議論したのは初めてではないか」と前置きし、これまでは日中それぞれが独自に覇権を定義づけた上で、「そちらの行為は覇権的だ」、「こちらの行為は覇権には該当しない」などとしていたのがこれまでの日中関係であったと振り返ります。その上で、覇権という抽象的な言葉を明確化し、両国の共通の解釈となるように民間が政府に先鞭をつけたことに意義があると語りました。


YKAA0665.jpg 言論NPO代表の工藤も、東アジアの平和と協力発展実現に向けて民間が政府に一歩先んじて実現のメカニズムを提示できたことにより、民間対話としての責任を果たしたことを強調しました。

 その他、本フォーラムの今後のあり方についても質問が寄せられました。これに対し工藤は、すでに安全保障分科会は昨年から独立した活動を始めていることを説明した上で、今回のフォーラムでは、他の分科会からもそうした独自活動を模索する動きが出始めていると回答。したがって、本フォーラムの形式はこれまでのような年一回ではなく、断続的に行われることの可能性を示唆。開催地に関しても「東京・北京」以外でも開催する可能性はあるとしました。さらに、議論の形式についても、専門家だけでなく、「多くの国民が参加し、一緒に考えるスタイルを作っていく」と抱負を述べました。

 この記者会見をもって、「第14回 東京-北京フォーラム」はすべての公式日程を終了しました。