「第7回日韓未来対話」の全日程を終えた6月22日夕方、両国のパネリストや関係者らが参加してレセプションパーティが開催されました。
市民社会に支えられた対話の成功で得た自信
初めに、日本側主催者を代表し、言論NPO代表の工藤泰志が登壇。工藤は公開フォーラムでの最後の挨拶に続いて、今回の聴衆のほとんどが対話への寄付者だったことに触れ、「1ヵ月で250人くらいが寄付してくれたのは、2001年の言論NPO設立以来、初めてのことだ。日本の市民社会に、『困難な局面だからこそ対話が必要だ』という思いに賛同してくれる人がこれだけいたことに自信を持った」と語りました。
そして工藤は、対話を支えたスタッフやボランティア、聴衆が「今回の対話は本当に良かった」と言っていることが大きな財産だ、と述べました。その上で、「この対話を、市民にさらに大きな影響力を持つものに発展させたい。今後もEAI(東アジア研究院)と共同作業で取り組んでいくので、力を貸してほしい」と呼びかけました。
韓国側パネリストを代表して挨拶に立った、自由韓国党国会議員の金世淵氏は、フォーラムでもたびたび議題に上った「日韓関係の構造的な変化」を歓迎すべきだ、と語りました。その一例として、「今回の対話で、日韓双方の実務レベルでは英語で連絡を取っていた。かつては韓国側が日本側に合わせて日本語を話していたものだが、今は日韓の関係が水平的になっているのを感じる」と述べる金世淵氏。
さらに、「ドイツのメルケル首相は、ドイツ人はユダヤ人に行った過ちについて永遠に責任を取るべきだと語った。一方、韓国人がベトナム戦争中の行為を謝罪すると、ベトナム人からは『未来について話そう』と言われる」という二つのエピソードを紹介し、「過去」と「未来」の両方に向き合う必要性を強調。「今の困難を悩みの種と考えるのではなく、一緒に問題を解決すべき機会だととらえれば、明るい未来が私たちを待っている」と述べ、挨拶を終えました。
過去に学び、未来へ積み上げる場として、この対話を大切にしたい
続いて、日本側から対話に参加した中谷元・元防衛大臣が、乾杯の音頭を取りました。中谷氏はまず、「内容の濃い、本音の議論ができた。また、韓国について新しく学んだこともあった」と、14年の韓国側パネリストに感謝の意を表しました。その上で、自身が韓国ドラマ、特に明治期の日韓の歴史を描いた「明成皇后」の大ファンだと述べ、「まだまだ知らないことはたくさんある。過去に大いに学び、未来に向かって積み上げていく場として、この対話を大切にしたい」と意欲を見せました。
中締めの挨拶に立ったEAIの孫洌院長は、日本側で韓国への厳しい感情が強まる中、様々な困難を克服し日本での対話を成功させた工藤への祝意を表しました。続いて、日韓両国のスタッフやパネリストに対しても「素晴らしい対話や、世論調査を準備するために尽力してくれた」と感謝。そして、「来年、ソウルでまたお目にかかりたい」と「第8回日韓未来対話」への意気込みを語ると、参加者らの盛り上がりは最高潮に達しました。
その後も、日韓の参加者らは丸テーブルを囲み、思い思いのお皿やグラスを手にしながら親交を深め、宴席は盛況のうちに幕を閉じました。