日本と中国で最大の民間対話、「第15回東京-北京フォーラム」(主催:言論NPO、中国国際出版集団、後援:外務省、中国国務院新聞弁公室)の開幕を翌日に控えた10月25日夕刻、前夜祭となる歓迎晩餐会が行われました。晩餐会は、北京市内のホテルに日中のパネリストなどフォーラム関係者約100人が集まり盛大に開かれました。
本フォーラムに先立って行われた日中共同世論調査では、中国人で、現状の日中関係は「悪い」と考える人は2016年の78.2%から改善を続け、今回はその半分の35.6%になり、前年比でも9.5ポイント減少しました。これに対して、日本人の日中関係に対する判断は、これまでの改善傾向を否定するように今回は再び悪化して44.8%(昨年は39%)が「悪い」との結果でした。日中両国政府が関係改善を目指す中、日中両国民の認識ギャップを埋めていくために何ができるのか。両国の国民意識を変えるためにも、世界やアジアの将来を見据えた日中協力の具体的な姿について議論を開始する、本フォーラムがそうしたスタートにしたいとの思いから、多くのパネリストが集まりました。
晩餐会ではまず、高岸明・中国国際出版集団副総裁と、言論NPO代表の工藤泰志が、両国の主要なパネリストを紹介。
続いて、中国側主催者を代表して杜占元・同総裁が、「このフォーラムは過去14年間、民間の知恵を発展させて影響力が高まり、今や日中外交の輝かしいスターになった。この間、中日友好の信念を守り抜いて苦楽を共にし、手を携えてきた言論NPOに感謝する」と、日本側主催者に謝意を表明。さらに、杜氏は、「中日関係は新しい時代に協力の新たなチャンスを迎えている。今回のフォーラムが意義深いものになることを信じている」と、明日からの率直な意見交換に期待しました。
これを受けて日本側主催者を代表し、明石康・本フォーラム実行委員長(元国連事務次長)が登壇しました。明石氏は「私はこの会場の誰よりも長命だが、このフォーラムには13回出席している」と明るく応え、「年と共に、フォーラムは質的にも議論の素晴らしさにおいても向上の一途にある」と讃えました。また、「中国は、私たち日本人にとって長い間、学び続けた偉大な国であるし、日本の隣人でもある。歴史においていろいろなことがあったが、日中関係が親密な間柄になっていることは、日本人として嬉しいことだ。親しい隣人との間には、問題がたくさんあっても、一つ一つにおいて忌憚なく意見を交わすのは重要であり、必要なこと。明日からのフォーラムが素晴らしいものになることを祈念したい」と願う明石氏でした。
この後、東京での開催時に、いつも明石氏が故郷から美味しいお酒を用意していたお返しに、中国の祝い酒として知名度の高い、「五粮液」が振舞われました。
この祝い酒の効果もあってか、会場は一気に盛り上がり、日中のボランティア通訳を介して歓談の輪が幾つも見られました。
その間にも、日本側から宮本雄二・本フォーラム副実行委員長(元駐中国大使)は、「明日以降、全力を持ってフォーラムを成功に導こうではありませんか」と、力強く、「乾杯」の音頭を取り、このフォーラムの立ち上げにもかかわった中国側の趙啓正氏(中国人民政治協商会議第11期全国委員会外事委員会主任、元国務院新聞弁公室主任)は、「中日友好に携わると、健康で長生きできる。その実例が89歳の明石氏だ」と快活に乾杯しました。
明日からは、「世界の繁栄とアジアの平和で日中が背負うべき責任」をメインテーマに、政治・外交、経済、メディアなど5分科会で日中の活発な意見交換が行われます。
その様子は言論NPOのウェブサイトでも随時発信していきますので、是非ご注目ください。