認定NPO法人 言論NPO
【調査協力】
日本:輿論科学協会
中国:零点研究コンサルティンググループ
言論NPOは11月17日、16回目となる日中共同世論調査結果を公表しました。
日本人の対中意識は悪化し、中国人対日意識は改善傾向が足踏み状態に
今回の調査では、日本人の対中印象は、尖閣諸島を巡る対立で悪化した2014年調査から、徐々に改善を始めていたものの、一転悪化しました。一方、中国人の対日意識は日本のように悪化せずに、「良い」印象はこれまで続いた改善傾向は足踏みする形になっています。
日本人がこの一年で中国への印象を悪化させたのは、中国が南シナ海や尖閣周辺、さらに国際社会で取っている行動や、軍事力の増強や政治体制の違いをその理由とする日本人が昨年よりそれぞれ大幅に増加するなど、中国の最近の行動への違和感を持っていることが挙げられます。
中国人が「米国」と「日本」を切り分けて判断する傾向がみられる
軍事的な脅威を感じる国が「ある」と回答した中国人は半数を超え、その8割を超える人が「米国」と回答しており、昨年から10ポイントも増加している。一方で、「日本」を軍事的脅威の国だとする中国人は5割を切り、昨年から30ポイント近くも減少しました。
その理由については、「日本が米国と連携して中国を包囲している」が最多となり、これまで日本と米国は一体として中国側に評価される傾向があったものの、今回は、中国人が米国と日本を分けて判断するという、これまではなかった傾向を示しています。
また、東アジアで紛争や衝突が起こり得る切迫した状況か、と尋ねたところ、中国人では「そう思わない」との回答が、「そう思う」を上回りました。ただ、中国人が最も危険な東アジアの地域として選んだのは「台湾海峡」の35.6%で突出しており、「南シナ海」、「朝鮮半島」が続きます。
米中対立では米中どちらにもつかず、世界の協力発展に努力すべきとの日本人が半数近くに
また、米中対立下での日中協力の在り方について約4割の日本人が、「米中対立の影響を最小限に管理して日中間の協力を促進する」と回答し、「米中対立とは無関係に日中の協力を発展させる」を加えると、日本人の半数近くが、米中対立の中でも日中協力を進めるべきだと回答しています。
さらに、米中対立下で日本の立ち位置について、「日本は米中のいずれにもつかずに世界の協力発展のために努力すべき」と考える日本人が半数を超え、「米国の関係を重視すべき」を大きく上回っていることが明らかになりました。
この調査は、言論NPOと中国の国際出版集団が2005年から16年間継続して毎年共同で実施しているものです。日本側の世論調査は全国の18歳以上の男女を対象に9月12日から10月4日にかけて訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000。中国側の世論調査は北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州の10都市で18歳以上の男女を対象に9月15日から10月16日にかけて調査員による面接聴取法により実施され、有効回収標本は1571。
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