アメリカを巻き込んだ議論づくりに大きな手応え ~ワシントン最終日報告~

2015年5月16日

 ワシントン訪問の最終日である5月14日、代表の工藤は前日に引き続き、多くの識者と会談し、意見交換を行いました。

 まず、2年ぶりに再会した上院外交委員会補佐官のマイケル・シーファー氏との会談で工藤は、過去2年間の「民間外交」の活動を説明するとともに、言論NPOが、アメリカを巻き込みながら北東アジアの平和のための多国間対話に向けて取り組んでいることを紹介しました。それに対しシーファー氏は「北東アジアでの対話はとても大事であり、そうした対話にアメリカが協力できる枠組みを作ることに何らかの協力ができれば」と応え、今後も協議を続けていくことで一致しました。


 続いて、East-West Centerワシントン所長のサテュ・リマエ氏と会談しました。リマエ氏よりEast-West Centerの行っている「アジア・マターズ・フォー・アメリカ」イニシアチブの活動説明があり、アジアとの貿易、投資、文化交流などがアメリカの各州にどの程度影響があるのかを客観的なデータからまとめた出版物や各地での講演活動についての紹介がありました。この活動についてリマエ氏は、「限定的な情報からアジアとの関係について否定的な見方をしている人がアメリカ国内ではかなり多くいる。そこで、この活動を通じ、自分たちの生活に密着した形で、アメリカや自分の住んでいる州がどの程度、アジアとの関係によって成り立っているのかを知る機会を提供している。アメリカの一般市民がアジアの国々との関係を再考するためのきっかけになれば」と語りました。これについて工藤は、「こうした活動は大変重要で、アメリカの国民の視点に立った活動をしている」ことに共感を示した上で、「今後、言論NPOの活動との関係で何か協力ができれば」と意欲を語りました。

 また、リマエ氏より「ワシントンでは、外交や安全保障に目が向きがちでアジアの問題に関しても視野が狭い部分があるが、各州に行けば様々なビジネス、貿易や文化上の交流があり、アジアに対する意見も多様で、包括的にアメリカを考えていくためには、他の都市にも目を向けていくことが大事」だとアドバイスがありました。


 その後、工藤はジョージワシントン大学マイク望月教授の招待で、学生や教授らを対象に「北東アジアの平和構築と民間外交」と題したセミナーにて講演を行いました。この中で工藤は、「東京-北京フォーラム」など言論NPOの活動を説明するとともに、北東アジア地域の課題解決に向けて、民間が横断的につながりながら取り組むことが重要だと強調。セミナーに参加していたドイツの戦後和解を専門にしている研究者から、「未来に向かうためには多層的に問題を乗り越え、将来に向けた協力を推し進めようとする個人や団体が社会に存在し、解決の意志を持った市民が参加できる枠組みがあることが非常に重要である。そういった意味で、これからもぜひこの活動を推し進めてほしい」など、フロアからも多くのコメントや質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。


150516_05.jpg 最後に工藤は、国務省東アジア太平洋局にてパブリックディプロマシー担当副次官補ケニー氏とヤング日本担当部長との会談を行い、言論NPOの活動を説明しました。その中で、現在取り組んでいるアメリカを含めた多国間対話について触れ、アジアの課題についてはアメリカとの協力が必要不可欠であると強調。政府間外交の基礎工事としての民間プラットフォームとして、アメリカ側からも認知される対話の場になればと意欲を示しました。


 今回の6日間にわたるワシントンン訪問を振り返って工藤は、「今回のワシントン訪問で、は多くの人たちと意見交換を行い、議論した。その中で、多くの人たちに賛同してもらった北東アジアの平和構築や地球規模的な課題に関する私たちの取り組みについて、日本に帰国後、待ったなしで取り組んでいきたい」と、今後の活動についての決意を示し、帰国の途につきました。

 今後の言論NPOの活動について、様々な形で発信していきますので、ぜひご注目ください。


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