まず、中国側主催者の中国日報社・高岸明副総編集長が挨拶。9回目を迎えた「東京-北京フォーラム」は「日中間の『公共外交』におけるもっとも重要なプラットフォームになった」と述べ、民間対話の重要性を強調しました。
また、今年が日中平和友好条約から35周年であることに触れ、平和を希求するこの条約の原点を再確認し、「日中関係改善への道筋を見出すための対話にしたい」と今回のフォーラムへの意気込みを語りました。
続いて日本側主催者を代表して明石康・国際文化会館理事長も日中平和友好条約について、35年前、同条約の批准書交換のため訪日した当時の鄧小平第一副総理が、「この条約を日中関係の新たな出発点にしたい」と述べたことに触れ、「この『第9回 東京-北京フォーラム』を日中関係の新たな出発点にしたい」と抱負を述べました。
また、このフォーラムは、政府間外交という公式のチャネルを側面から支援し、合意を支援することが民間対話の意義である、と述べるとともに、参加者に対して冷静に相手の意見を聞きながら、真剣かつ率直に議論をしていくことを呼びかけました。
参加者スピーチでは、日本側参加者を代表して加藤紘一・日中友好協会会長が「日中関係が困難な情勢の下で、その局面を打開しようとする、このフォーラムが行われること自体が素晴らしい」と述べました。
さらに、「いま日中友好は日中両国で人気のないことになっていると思うが、人はとにかく会うことで関係が深まる。日本人の認識も徐々に正常に戻りつつあり、中国の怒りも収まっていて、感情も日本に近づいている。両国の人々が宮崎駿のアニメを見て同じように感動しており、だんだんとお互いの感情が収斂し、いつか良い日中関係になるのだと思っている」と指摘し、今回のフォーラムが日中両国の関係改善をさらに促進することへの期待を述べました。
続いて登壇した李薇・中国社会科学院日本研究所所長が、東京五輪の招致成功に対する祝意を示すと、日中両国の出席者から大きな拍手が起こりました。
続けて、日本と中国がこれまでともに平和的発展を遂げてきたことに触れた上で、「この平和的発展が中断して欲しくないというのは日中共通の願いであるはずだ」と語りました。そして、「日本と中国は平和友好条約の締結時に戻ることはできないが、条約の根幹である平和精神に立ち戻ることは可能だ」とし、「この日中間の停滞した局面を打開していこう」と日本側参加者に呼びかけました。
この後、「東京-北京フォーラム」財務委員長の副島利宏・三井物産元副社長が、今回のフォーラムを開催するにあたって、日本側は約50社の企業・団体の支援を受けている旨を指摘し、改めて多くの支援者への謝意を示しました。その上で、「今年は日中関係が非常に厳しく、支援企業が減ることを心配したが、両国関係が好転することを願っている企業がある」と元企業人として日中関係の改善を訴え、晩餐会は和やかな雰囲気のうちに締めくくられました。
26日から始まる「第9回 東京-北京フォーラム」の議論の詳細は、言論NPOのホームページに随時アップいたします。日中間の民間外交の最前線の議論をぜひご覧ください。