王英凡(全国人民代表大会外事委員会副主任委員)
ワン・インファン
中国―ヨーロッパ議会関係グループ主席
1964年11月北京外国語大学英語学部を卒業後、外交部に勤務。かつて外交部アジア司の副処長、処長、副司長、中国のフィリピン駐在大使、アジア司の司長、部長の補佐役、副部長を歴任。1999年10月より中華人民共和国国連常駐代表、特命全権大使を担当。2003年3月第十回全国人民代表大会常務委員会委員、外事委員会副主任委員、中国―ヨーロッパ議会関係グループの主席に当選。
基調講演
尊敬するフォーラムの主催者の方々、来賓の方々、出席者の方々、ありがとうございます。
私は中日互恵関係について述べたいと思います。
10月に安倍総理が訪中し、4月に温家宝首相が訪日することで、双方で中日互恵関係が合意されました。具体的な協力内容についてコンセンサスが得られました。
日中関係は今新たなスタートラインとなり、実践に証明されるように、この互恵関係は10数年後振り返ったときに歴史的意義ある決定となることでしょう。中日関係が戦略的レベルに位置付けられることは、大局的な立場から両関係を見直すきっかけとなるでしょう。
胡錦濤の合同コミュニケでも述べられたように、日中は共同で平和安定発展のために貢献しなければなりません。両国には厳かな責任があります。この厳かな責任には両国政府のみならず、各界の有識者の担うべき責任も含まれます。
このフォーラムは両国関係の新しい変化、局面に順応するもので評価すべきと考えます。両国関係は地域のみならず世界の発展にかかわるものです。互恵関係は空想ではなく、一定の基盤に基づいたものです。歴史的絆についても、35周年についても、すでに両国間で多くのことがなされ、国民に実質的利益をもたらしています。貿易関係もホットですが、この決定的要素は互恵であります。摩擦等、解決しなければならない問題もありますが、気候変動、省エネ、食品安全等、中日間では友好的関係が繰り広げられています。
過去の実績だけではなく、今後見なければならないのは、ポテンシャルです。日中関係のポテンシャルは大きいものです。両国はたえず協力し、協力領域を広く、高いレベルまで持っていくべきです。
私は議員、元外交官です。政治は非常に敏感なものです。日中互恵関係構築の基盤はまだ弱いものであり、双方には互いに猜疑、不信感があります。
中国の軍事問題、軍事近代化、価値観要素、双方の社会的基盤は脆弱です。この部分の互恵関係の構築は複雑かつ道は遠いものです。
今後の実践はいかなるものでしょうか。中日関係は新たなスタートラインにたち、ここから健全で安定的関係の発展につながるのでしょうか。遠回りを避けることができるでしょうか。後戻りを避けることができるでしょうか。私はビジョンには楽観的ですが、まだまだ心細く感じます。
数年前の両国の政治の冷えは歴史問題が原因です。厳しく歴史問題についてコミットメントを守っていくのでしょうか。歴史問題が互恵関係の妨害にならないようにさせることができるのでしょうか。両国の政治家の知恵が必要です。日本の右翼勢力は歴史について議論しています。歴史問題も日中で努力を尽くせばよくなるはずです。
いかに猜疑をへらし信頼をふやしていくのか、しっかりした世論のベースをいかに固めるか。私には分かりませんが、このフォーラムを通じて回答を見つけることができるでしょうか。いろいろ議論すべきだと思います。その意味で、このフォーラムはさまざまな領域で交流が深まり、意義があったと思います。
東シナ海の開発について、双方が平和協力の海にするという願望をもっていれば、双方が容易に受け入れられる共同領域で開発することができるでしょうか。容易に受け入れられる地域で共同開発することができるでしょうか。私はこの外交交渉に参加していませんが、東シナ海の交渉は難航しているそうです。
交渉とは、高いドラフトを持つことです。最終に達成するのは最悪な場合が多いです。容易に受け入れられるところから始めるべきです。相互信頼をふやし、民間の友好的感情を増やすことが必要です。
双方が最大の努力をはかり、新たな疑惑を増やすものを避けるための措置をとることができるでしょうか。これは多国間関係、国内関係にもかかります。
最後にマスメディアについて話をします。
マスメディアは民意に重要な影響力を持つため、独立した存在であるべきです。
ただ、民意の代表である議会が民意に影響をもたらすことはできないでしょうか。互恵関係によい関係をもたらすために影響を与えることはできないでしょうか。
さまざまな日本の作品が中国で発表されることを歓迎します。これにより中国の日本に対する理解が深まり、民意によい影響をもたらすでしょう。
私は、マスメディア、専門家の活躍を期待しています。このフォーラムはエリートの集まりです。このフォーラムが今後ますますよくなること、互恵関係を構築するための優秀な人材を集めることができる友好なフォーラムになることを期待しています。