言論NPOは平成17年11月に創立から４年を迎えました。それまでの４年間は言論NPOにとっては「始動期」と言えるものであり、決して十分ではない体制や基盤の中でも、多くのメンバーの協力を得て、質の高い議論とそのための舞台の形成に取り組んできました。しかし、日本の言論や政策市場の現状は、質の高い言論の役割を一層問うているように思われます。

　言論NPOの所期の目的は、議論形成にあたって有権者のエージェントとしての役割を果たし、日本が抱える課題解決と将来選択で議論をリードする、日本では初めてのNPO型のメディア・シンクタンクを実現することにあります。私たちはこの目標を10年で実現することを当初から念頭に置いて活動を行ってきました。

　しかし、私たちが所期の目的を達成するためには、克服しなければならない課題があることもこの4年の間により鮮明に浮かび上がってきました。議論をより頻繁に公開できる体制、質の高いコンテンツつくりを安定的に継続的に行える体制をつくることです。

　平成17年度はこれから始まる4年計画の初年度であり、しかも8月には２つの大事業を同時に抱えていました。１つは日中間に新しいコミュニケーション作りを北京で立ち上げることであり、その直後の9月の総選挙のためにマニフェストの評価を公表することです。この２つの事業を同時に成功させると共に、更に、この間に明らかになった課題の克服も含めて、
１）質の高い議論の舞台の形成と議論の発信
２）有権者が政治を判断するための判断材料の定期的な提供などの課題
で目標を掲げて重点的に取り組みました。