言論NPOとは

言論NPO「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に対する意見(2010年6月報告)

1.2009年度 活動状況

 2009年度の言論NPOの活動は大きく、①マニフェスト評価事業、②日中間の議論のプラットフォームつくりにむけた「東京-北京フォーラム」、③非営利組織評価基準検討会(主査:田中弥生)における市民社会にかかる議論形成支援の3本から構成される。
 出版事業、ウェブ論壇、会員向けフォーラムは上記事業にかかる情報発信の手段として行われる諸活動と位置づけられる。特にウェブ論壇に関しては、2009年3月にウェブサイトの全面リニューアルに伴い、3本の事業を効果的に発信できる体制を整えている。
 また、会員拡大、募金活動は活動母体となる組織の基盤強化とともに、言論NPOの活動への参加の勧誘という意味で、広く市民に対して行う活動である。

 2009年度は、ウェブサイトリニューアルに伴い、上記3事業をそれぞれ「政治に向かい合う言論」、「世界とつながる言論」、「市民を強くする言論」と位置付け、それらがすべて言論NPOの主要事業として確立している。
 出版事業、ウェブ論壇については順次実施されてきた。会員向けフォーラムについては、上記以外のもうひとつのカテゴリーとして、会員等の参加を募って議論形成を行い、社会に対する提言を行う「次の日本をつくる言論」を設けた。2009年度においては「メンバーフォーラム」等がその一環として行われたものの、年間を通じてみると相対的にその頻度は低かった。
 会員拡大、募金活動、さらにはボランティア募集、インターン募集は、ウェブ上で常時行われている。


2.言論NPO「非政治性・非宗教性評価」結果について

 2009年度の非政治性・非宗教性の自己評価結果を精査した結果、問題がないと判断する。

「優れた点」

・質の高い発言者を確保しており、議論の質について一定の高い評価を内外から得ている。 ・知識層を中心とした人々が、言論NPOの活動に種々のかたちで参加がなされている。 ・議論の内容が即座に公開されている。また、そのまとめ方もわかりやすく、クオリティも担保されており、これには学生インターンの貢献が大きい。

「課題」

(1)より継続的・頻度高くフォーラムを開催する必要性
専門家や市民が集い、実際に意見を交換する機会は、ウェブや出版とは異なる強みをもっている。市民参加という視点からも、フォーラムはよりコミットメント性の強い、双方向の情報発信の方法である。昨年度に引き続き、フォーラムの頻度が低いというコメントをしたが、今後はより継続的、頻繁にフォーラムを開催し、市民の参加を募る必要があると思われる。

(2)ウェブ掲載情報の整理、定期的更新の必要性
 ウェブリニューアルにより、知りたい情報に比較的容易にたどり着くことができるようになったが、情報量の多さゆえ、さらなる整理、再構築が必要である。ウェブの更新頻度は以前よりも高くなったが、今後はよりユーザーを意識した更新計画に基づいて、効果的な発信を行う必要がある。

(3)会員拡大、募金活動のための工夫の必要性
 約40,000のNPO法人の中には、寄付、ボランティア、会員を募集していない、あるいは掲載していない団体が過半数以上存在している。それらと比較すれば言論NPOの募集の仕方は良い。しかし、5億円以上の認定NPO法人と比較すると、募金の仕方、メッセージの仕方には未だ、工夫の余地があると思われる。非政治性・非宗教性のチェック、ガバナンスや透明性のチェック、募金の際の倫理規定などを作成し、しっかりとアピールすることも必要である。

(4)その他
 民主党政権によって「新しい公共」が強く打ち出されたことなどにより、関係者の動きも顕著になってきた。
 他の業界団体と同様、特定分野のNPOが業界として政治家に陳情活動を行い始めている。彼らはこれをアドボカシー活動と呼んでいるが、その実態は明らかに「陳情」である。言論NPOが開催する政治討論と「陳情」を混同する者もいる。この種の不透明な活動と、言論NPOの活動がどのように異なるのか、よりわかりやすい言葉で説明してゆく必要がある。