言論NPOとは

平成21年度 言論NPO事業計画

平成21年度事業計画

 健全で強い民主主義が問われている中で、健全な言論の舞台を構築するという、言論NPOの初期のミッションはこれまでにも増して重いものとなっております。  平成21年度は、そのミッションの達成に向けて活動を大きく進める為に、3年後の23年度に迎える設立10周年に向けて3ヶ年計画をスタートさせます。

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顧客目線で議論の展開を抜本的に見直す

 言論NPOの議論は、当事者意識を持って今の時代に向かい合い、建設的で質の高い議論を行うことで健全な民主主義を作ることを目的にして行われています。  しかし、この議論の舞台により多くの人が参加し、かつ議論自体の発信力を高めるためには、言論NPOの活動内容や議論の進め方や議論の内容が、より顧客視点で分かりやすく公開されなくてはなりません。

 そこで、昨年度取り組んだ「参加、公開型議論への転換」に引き続き、本年度は言論NPOが行う活動や議論を、「政治に向かい合う言論」「世界とつながる言論」「社会を強くする言論」「次の日本をつくる言論」の4つのカテゴリーに区分し、その中で議論が整理されて公開されるほか、議論の展開にそれぞれ目標を持って取り組むことにしました。

 これに伴い今秋にウェブサイトの全面的リニューアルを行います。顧客から見て、良質なコンテンツによりアクセスしやすく、また参加もしやすいサイトへと生まれ変わります。またこれとは別にマニフェスト評価の専用サイトも立ち上げます。
 これらの作業は、言論NPOの提供するコンテンツがより広く認知され、その質の高さが社会的信頼と存在感を獲得していくことを目的としています。

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言論NPOが取り組む4つの議論とは

1.「政治に向かい合う言論」

 有権者の眼力こそが「強い政治」を作るという考えのもと、一人ひとりが当事者として政治を判断するための判断材料として、マニフェスト評価・政権の実績評価を行い、そのプロセスを公開します。  ここでは評価結果だけを公開するのではなく、評価プロセスにおいて参加型のフォーラムやアンケートなどを行い、有権者の幅広い意見を反映させながら活動していきます。またマニフェスト評価専門サイトを別途立ち上げ、より詳細な評価結果や議論の様子を発信していきます。このサイトを中心として、今後は評価活動を定期的に行うこととします。

2.「世界とつながる言論」

 「北京‐東京フォーラム」を中心とし、国際社会における日本のあり方や、アジアや世界の課題解決について議論を行い、アジア各国、世界へと議論を広げていきます。  今年で第5回目を迎える「北京‐東京フォーラム」は、日中両国の有識者が、両国が直面する課題やアジアの未来に関して本音で議論を行う民間対話として定着しつつあります。  大連市で開催する今年のフォーラムでは、中国の大国化という世界的なパラダイムシフトが生じて以後初めての対話となります。議論の様子やフォーラム開催までのプロセスは、「北京‐東京フォーラム」公式サイトでも公表します。  将来的にはこの日中両国対話を、アジア各国を巻き込んだマルチな対話へ発展させていくことを検討します。また今後3年間では実行委員会の拡大を図るなど、恒常的な議論の舞台として定着させる仕組みを構築することを目指します。   また、日本の将来像や外交課題についての議論・提案を行っていくため、外交問題の議論の舞台の構築を今後3年で進めます。

3.「社会を強くする言論」

 成熟した市民社会は民主主義の原点でもあります。「社会を強くする言論」では、市民一人ひとりが自ら考え行動する強い市民社会の基盤作りに向けて、メディア報道のあり方や日本の非営利組織が抱える課題などについて議論を行います。  本年度は特に、平成19年11月に発足した非営利組織評価研究会を中心とし、あるべき市民社会の設計についての議論に力を入れていきます。ここでは非営利組織の評価基準の検討や提案を行うほか、自発的に「公」を担い、経営的にも持続可能なNPO法人の実現について議論します。  また、幅広い視点から市民社会について語り合うフォーラムを定期的に開催します。専門家へのインタビューなども行い、これらの模様はウェブサイトで公開するほか、ブックレットを通して発信していきます。

4.「次の日本をつくる言論」

 世界的な経済危機、財政悪化、少子高齢化や地球環境問題など、将来を見すえたうえで日本が抱える課題は様々です。ここでは、テーマ別の議論を幅広く行うほか、国の将来を考えたときに今本当に議論しなければいけないことは何なのか、ここでは言論NPOへの参加者が主体となって議論を発信していく仕組みを作っていきます。

資金基盤の多様化に目標を持って取り組む

 言論NPOの資金基盤は寄付の比率が最も高く、基本的に大口寄付に依存する構造となっています。平成21年度は、寄付の間口を広げた大小の寄付、会費、事業収入の増加、ウェブ・雑誌、研究費・助成金取得などにより、資金基盤を多様化し、それにより経営基盤の安定に取り組みます。  この資金基盤の多様化は、3年後の平成23年度には、おおよそ会費収入2割・事業収入3割・寄付5割という寄付のみに頼らない自立した収入バランスになる形を確立させます。  そのため、21年度は、会費収入および事業収入を全体の4割、残りの6割を寄付収入となることを目指して、以下の事業に取り組みます。

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Ⅰ. 寄付金の多様化

 大口寄付だけではなく、一般からも広く寄付を募るため、ウェブ上で寄付をクレジットカードで決済する仕組みを導入し(21年4月導入済み)、またクリック募金を活用しながら、一般からの小口の寄付を募ります。  また、言論NPOが取り組むマニフェスト評価などのコンテンツ活動を軸に、研究費・助成金・受託事業などの外部資金の受入れ強化も図ります。

Ⅱ. 言論NPOの会員の増強と会員活動の定着

 言論NPOのメンバー(旧基幹会員)を3年後に200人に増やすために、メンバーフォーラムなどの会員参加型の各種のフォーラムの定期的な開催、メンバーの議論参加などの会員活動の定着と、計画的な会員増加による会費収入増に取り組みます。

言論NPOの事業収入の拡大に計画的に取り組む

 ここでは出版事業としての言論ブログ・ブックレットの販売とフォーラム収入が柱となります。ブックレットは最低でも年間6冊、フォーラムはメンバーフォーラムやマニフェスト関連の各種フォーラムなどを開催します。  言論NPOで行う議論と事業の関係は以下の通りです。  各テーマでの議論・評価が、それぞれに発信・フォーラム開催・ブックレットの発行を行い、それを更に次の議論につなげ、情報の発信・フォーラム開催・ブックレット発行へつながるという健全な事業循環が可能となります。

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 この事業循環が、有料フォーラムによる収入、ブックレット販売による収入など、資金基盤の多様化となります。
 広報宣伝も含めた形で、積極的に営業活動を行い、販売収入及びブックレットやウェブサイトへの広告収入の獲得を図ります。ブックレットの販売では、フォーラムとの連動を検討して、販売網を広げるほか、まとめ買いなどの戦略的な販売を在庫ブックレットと組み合わせて行っていきます。