言論NPOとは

言論NPO 第23回通常総会

 言論NPOは6月19日、東京都内の言論NPOオフィスにおいて、「第23回通常総会」を開催しました。総会には、議決権を有する正会員61名(表決委任者・を含む)が出席しました。議長には、アドバイザリーボードから藤崎一郎・元駐米大使が選任されました。


議案書決議事項

 総会では、言論NPO理事長の工藤泰志が、「令和五年度活動報告」と「令和五年度決算」について報告し、全会一致で承認されました。さらに「令和六年度事業計画・予算案」についても同様に報告を経て全会一致で承認されました。

 工藤は「令和五年度活動報告」については、「東京会議」を「東京-北京フォーラム」と並ぶ言論NPOフォーラムの二枚看板とするという年度開始時の目標を実現できたと評価。国内外のメディアで大きく取り上げられ、ミュンヘン安全保障会議やライシナ対話といった世界的な安全保障対話とも遜色のない議論が展開されたという報道もあったと報告しました。

 また、もう一つの柱である「東京-北京フォーラム」についても、核問題に関する特別分科会を設けて日中の専門家が民間の舞台で初めて議論し、世界的な注目を集めたことなど大きな成果があったと語りました。

 一方で、持続性のある組織に刷新するという目標については、「道半ば」と報告。法人会員数は増加したものの、個人会員数は横ばいであり、会員の定着に向けて「国際課題勉強会」と「中国勉強会」という二つの勉強会を開始するとともに、言論フォーラムも昨年度と同様に18回開催したものの、新規の会員拡大にはつながっていないと説明しました。

 一方で工藤は、言論NPOの認知度の向上を狙った新たな取り組みが加速していることも報告。若い世代への訴求力を高めるためにTikTokなどのSNS戦略を展開するとともに、これまでの民間外交の取り組みを紹介する短編動画を二本公開したことなどを明らかにしました。
 
 「令和六年度事業計画」についてはまず、「東京会議」の国際的な評価は高まったものの、ミュンヘン、ライシナといった他の国際会議と比べるとその基盤はいまだ脆弱であると自己評価。「東京-北京フォーラム」についても、節目の第20回フォーラムの開催、2025年からの「次の10年」を迎えることを踏まえ、対話の再設計や中国側の協力取り付けをはじめ、交渉課題は多いとした上で、やはり運営に当たる言論NPO自体の組織体制強化は不可欠であるとしました。

 こうしたことを踏まえて工藤は、三カ年計画の最終年度を迎える今年度においても、① 言論NPOの活動の固定費の全額を会費と寄付で賄うこと、②言論NPOの活動やその目的を分かりやすく、幅広く支持者を拡大すること、といった従来課題への取り組みに加えて、今年度は③言論NPOの組織を世界会議の運営に持続的に対応できるように刷新を検討することを課題に設定すると報告。そのために、事務局・理事会といった各体制の強化を打ち出すとともに、会費や寄付収入の拡大に向けて、オンラインでの手続きを簡便にできるようにするためのウェブサイト刷新に現在取り組んでいることを明らかにしました。また、SNSなどの活用による支持層の拡大や各種フォーラム・勉強会の刷新など既に手掛けている取り組みのさらなる徹底も図る方針も示しました。

 次に、任期満了に伴う監事選任に関して、冨家友道氏の再任が報告されました。任期は令和八年通常総会までとなります。


報告事項

 続いて、令和五年度の言論NPOの活動に関する「『非政治性・非宗教性』に係る自己評価結果」について、工藤から報告がなされました。この自己評価は、言論NPOの活動の中立性・公益性を保つため毎年実施・公表されているもので、令和五年度の言論NPOの活動については、八分野について評価が行われ、全ての活動プロセスが非政治性・非宗教性を満たしていることが報告されました。

 続いて、この非政治性・非宗教性に関する言論NPOの自己評価に対する朝比奈豊、長有紀枝両氏による言論監事意見を、会場に参加した長氏が述べました。

 まず、これらの自己評価は手法、プロセスに加えて結果に関しても「問題がない」と評価。そして、「言論NPO の多くの行動・発言が政治的な主張と解釈されかねない局面の中で、独自に作り上げた中立性の評価を行い続け、活動の根幹に据えていること自体に敬意を表する」と同時に、「政治課題に取り組むことは言論NPOのミッションであり、政治課題に取り組むことと政治的な活動を行うことは明確に区別されるべきものだが、言論NPO はこの点をしっかりと認識し、自らの使命に挑み続けている。その一貫とした姿勢を高く評価したい」旨の意見が寄せられました。

 なお、理事会決議事項である会計監事、言論監事の選任については、中村氏の会計監事、朝比奈、長両氏の言論監事の再任がそれぞれ併せて報告され、総会は閉会しました。

 
 その後は理事やアドバイザリーボードなど、出席者を交えた懇親会が行われ、言論NPOが今年度問われていること、何を期待しているか等が参加者が語られるなど、令和六年度に向けた決起集会となりました。

 今回の総会において承認された議案と報告事項は、言論NPOのウェブサイト上で公開しておりますので、是非ご覧下さい。