言論NPOが世界のシンクタンクとも連携して実施している世論調査では、日本の国民の多くが政治家や政党に課題解決を期待しておらず、政治家を自分たちの代表とすら思っていないことが明らかになっています。さらに、若い層を中心に、民主主義自体への懐疑的な見方が強まっています。こうした動きは、コロナウイルス禍でさらに顕著になりました。
言論NPOは2019年秋、日本の政治学者約10氏らで「日本に強い民主主義をつくる戦略チーム」を立ち上げ、国会や政党、選挙、さらにメディアや市民社会など、日本の民主主義の仕組みの総点検を開始しました。
その直後に行われた言論NPOの創立18周年フォーラムでは、ラスムセン元デンマーク首相(前NATO事務総長)ら世界で民主主義の修復に取り組む有力者らを招き、世界各地で民主主義への信頼が低下する背景に何があるのか、そして民主主義の信頼を取り戻し、より強靭なものにするためにどのような改革が必要なのか、民主主義の困難に立ち向かう議論が行われました。
言論NPOは2020年以降も、世界の識者とも連携し、日本の民主主義の改革案づくりを進めていきます。
民主主義の総点検
言論NPOが昨年9月に実施した世論調査結果では、7割の国民は政治や政党に将来課題の解決を期待できないと答えており、選挙で選んだはずの政治家を自分の代表とは思えないという人も5割近く存在するなど、政治への不信、さらに民主主義自体への懐疑に繋がり、こうした傾向は若者層に顕著に表れています。
こうした状況下で改めて、国民の政治不信の原因や、統治構造の見直しなどの総点検を行うと同時に、有権者が自己決定し、信頼できる政府を作り出していけるような民主主義の在り方を提案していきたいと考えています。
政策評価
選挙時のマニフェストを評価するだけではなく、その後の政策実行を評価するため、政権が発足してから100日や1年といった節目に、その政府の取り組みの実績評価を公表しています。
この評価は直近の選挙で有権者に約束した政策が、本当に実行され成果を挙げる方向に向かっているのか、国民に対する説明もなく大きな方針転換をしていないかといった観点から、政策分野ごとに行います。
マニフェスト評価
私たちは、日本の政治が直面する課題に向かい合い、課題解決に動き出すためには、有権者が強くならなければいけないとの思いから、2004年の小泉政権以降、選挙の際に各党のマニフェスト評価を公表し、有権者自身が国内外の様々な課題を考えられるような判断材料の提供や議論の舞台をつくり出してきました。
世論調査
世界55カ国のシンクタンクと連携しながら、共通設問での民主主義に関する世論調査を実施しています。
さらにこうした世論調査結果をベースにして、国内のみならず、世界の民主主義国から識者を招き、フォーラムを開催しています。
エクセレントNPO
非営利セクターの現状を調査から、優れたNPOの条件として、課題解決の能力、組織の持続性、市民の参加と成長の3点を抽出し、それらを満たした団体を「エクセレントNPO」と定義しました。そして日本で初めて、日本の市民社会を強くするための体系的な自己診断基準「エクセレントNPOの評価基準」を開発・公表し、この基準に基づき、優れた非営利団体を表彰する「エクセレントNPO大賞」を2012年に創設し、毎年表彰を行っています。