長 有紀枝
1.言論NPO「非政治性・非宗教性評価」結果について
言論NPOにとって中立性及び非政治性・非宗教性は決定的に重要であり、こうした中立性の自己評価を20年間続けてきたこと自体に、まずは敬意を表したい。
そうした理解に基づいて、令和二(2020)年度、言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に関して、言論監事の意見を次のとおり述べさせていただく。
言論NPOは、別紙4に記載された規定の評価方法に基づいて自己評価を実施しており、言論監事として、その手法・プロセスに問題がないことを確認した。
また、評価結果に関して、「非宗教性」、「非政治性」を完全に満たしていると判定した。
以上から言論監事として、手法・プロセスに加えて結果についても問題がないことを確認した。
2.今後の課題
言論NPOは、年度開始直後から、コロナウイルスの感染拡大に伴う1回目の緊急事態宣言が発出されたことで、言論NPOの活動を自粛することになり、6月末までは実質的な休業に陥り、また、寄付や会費などの減少から、かなり経済的に厳しい状況に直面していると聞いている。しかしながら、20年目の言論NPOの活動をより多くの人たちの理解や、支援に支えられるための好機と捉えるべきと考える。言論NPOが中立・独立の立場から社会一般に支持されるために、特定の資金に依存するのではなく、資金源の多様化を進め、企業からの寄付、行政や助成財団からの資金の他、会員と個人寄附を拡大していくことは、今後の活動にとっても非常に重要だからである。言論NPOの活動の展開が、幅広く市民の支援に支えられる体制を作り出すことは急務と考える。
この点に関し、令和二年度も「ふるさと納税」を利用した寄附を実施し、コロナ禍でも1000万円近くの寄付を集めたこと、さらに、米国のルース財団から助成金を獲得したことは評価できる。また、議論づくりに関しても、youtubeやSNSを活用して展開する等、幅広い努力を行うことも聞いており、こうした活動に注目したい。
言論NPOは設立以来、民主主義の強化をミッションとして掲げ、2021年度には設立20周年という節目を迎える。民主主義が世界中で危機に直面している今だからこそ、こうした努力を通して、名実ともに、設立時のミッションの実現に向けて、幅広い市民や有権者の支持を集める、日本を代表するシンクタンクへの成長を期待している。