なぜ今、日米中韓と日米で北東アジアの平和を話し合うのか

2019年1月13日

 北東アジアの平和は、極めて不安定な環境下にある。この地域には、平和を安定的に維持する仕組みが存在せず、皮肉なことに、日米同盟と中国が対峙する構造が、この地域の緊張を高めながらも、衝突を回避する唯一の土台となっている。

 私たちが行っている日本と中国の世論調査では中国側の日本に対する感情がこの数年大きく改善したが、安全保障に限っては、両国民の意識は全く別の傾向を示している。

 日中両国民とも相手国に軍事的な脅威感を異常なほどに高めており、日本国民は中国の軍事的な不透明な台頭や行動に神経を尖らせ、中国人の多くは、日本と米国が一緒になって中国をいつかは攻撃すると見ている。軍事的な衝突を危惧する声も少なくない。

 私たち一般の市民から見ればこうした意識はばかげたように思えるが、政府間の様々な行動がこうした国民の不安を増幅させ、次第にそれぞれの意識を右側に動かしているのは間違いない。