世界では大国の力による行動によって分断が深まる等、歴史的な困難に直面しています。しかし、そうした状況下でも、日本の未来に関する議論は国内にとんどありません。最も考えるべきことは、将来世代に課題を先送りにするのではなく、持続的な日本をどのように作っていくか、ということです。

言論NPOは創立以来、日本の政策がきちんと日本が抱える課題に見合った形で立案されているのか、政府の政策評価や政党の公約評価で厳しく点検してきました。私たちが評価作業を一時中断したのは、政党が選挙で政策実現を掲げて有権者の信を問うサイクルが事実上機能しなくなり、選挙自体が単なるイベントと化したためです。

しかし、私たちは日本の未来のために様々な課題に真剣に向き合い、その解決を目指さなければなりません。「日本の課題を考える」は私たちが考えるべき政策課題を明らかにし、その解決に挑む場です。ここで日本の未来に対する論点を明らかにします。


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同盟国米国への日本国民の信頼が後退する中で、日本外交の今後について二氏がコメント

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米国と日米関係に関する世論調査結果を日本の識者はどう見たのか。日米同盟に詳しい東京国際大学教授の武田康裕氏と、2021年10月から24年10月までウクライナ大使を務めた松田邦紀氏に話を聞きました。


両氏はともに、米国を同盟国として「これまで信頼していたが、今は信頼していない」と答えた日本国民が21.1%いた結果に注目し、「現状の米国の行動を見ると、日本の国民の健全な判断力が反映している結果」(松田氏)との評価もありました。

両氏の見方は、「国民は米国との距離をとるとまでは考えていないが、過度な米国依存について問題提起をしているのは事実」という点で一致しました。しかし、今後の日本外交のあり方については、「日本国民は、日本外交の自立と日米同盟の維持は両立すると判断した」と結論した武田氏に対し、松田氏は「国民は米国一辺倒の日本外交のあり方について問うている」と分析しており、意見が分かれました。

日本の世論は日米同盟下での外交的自立を求めている     欧州やアジアとの連携が日本における自立外交の鍵

                               

  武田康裕(防衛大学校名誉教授、東京国際大学教授)            松田邦紀(前駐ウクライナ特命全権大使)      

Q. 米国を同盟国として信頼しているか

第一に、「これまでは信頼していたが、今は信頼していない」(21.1%)
と「以前から信頼していたことはない」(12.4%)を合わせた不信感
(33.5%)が、「信頼している」(17.8%)と「それまでは信頼していな
かったが今は信頼している」(1.9%)を合わせた信頼感(19.7%)を
13.8ポイントも上回った。第二に、「これまでは信頼していたが、
今は信頼していない」(21.1%)から「これまでは信頼していなかった
が、今は信頼している」(1.9%)を差し引いた不信感の純増は19.2
ポイントであった。

米国に対する評価は、昨年までは同盟国として「信頼している」
との見方が38.9%(※1)であり、「信頼していない」との見方の
14.3%(※2)を上回っていた。

しかし、今年は「信頼していない」が33.5%(※3)であるのに対し、
「信頼している」が19.7%(※4)となっている。

米国は信頼できる同盟国から信頼できない同盟国へと劇的に転換した。
その原因は...続きを読む

今回の日米同盟に関する世論調査の、同盟国である米国を信頼
して
いるかとの設問で、「これまでは信頼していたが、今は信頼し
ていない」
という回答が20%を超え、最多だったことには驚いた。

日本国民はこれまでの日米外交を、極めて冷静な目で見始めた

現状の米国の行動を見ると、日本の国民の健全な判断力が反映し
ている
結果だとは思うが、米国の核抑止力に今後も頼るべきか、
との問いには
「強くそう思う」「ある程度そう思う」が半数を超
えている。

米国は信頼できない。しかし、核を考えると他に選択肢はない。
この二つの問いに現在、日本が置かれた難しい状況が表れている
と思う。

これは、私がこれまで付き合ってきたウクライナ、ヨーロッパの
いくつ
もの国も同様で、多くの国が現在この矛盾に直面している。

日本国民は...続きを読む

日本の課題を考える

言論フォーラム「存立危機事態、何が問題だったのか」

12月16日(火) 18:00~19:00