「第19回北京―東京フォーラム」は10月19日から、2日間にわたって、北京で4年ぶりとなる対面方式で行われ、政治外交、核と安全保障、そして、経済、デジタル社会、メディア、若者対話の議論に、日中両国を代表する有識者約100氏が集まり、率直かつ踏み込んだ対話を行った。
今回の対話で、私たちが全体テーマに選んだのは「平和」である。
今年は、日中両国の平和友好協力の諸原則を定めた日中平和友好条約が45周年の節目の年を迎える。
この条約の意義は、国連憲章と平和の原則を守り、両国が直面する困難は対話により平和的に解決する点にある。
ところが、ウクライナ戦争の継続は1年8カ月に拡大し、新たに起きたイスラエルとパレスチナの衝突は人命上の被害を拡大しようとしている。経済をめぐる対立で世界は分断の危険性を高め、更に核使用の威嚇が世界の不安を高めている。
国際社会の平和に対する努力が厳しく問われる現在の局面において、アジアひいては世界の平和と繁栄に責任を負うはずの日中両国が、世界の今の状況に対し、共に向き合い、力を合わせて責務を遂行することが本当にできるのか。それこそがこの節目の年に、私たちに突きつけられた重大な課題なのである。
この二日間、私たちは真剣に議論し、次の二点を確認した。
一つは、この条約の原点と今日的な意義を再確認し、アジアにおける緊張緩和と紛争回避のためにこの条約を機能させること。二つは、私たちは世界やアジアに平和と安全の秩序を構築することで合意し、この目標を実現するために、あらゆる努力を始めるべきだ、ということである。
そのためにもまず両国はあらゆる対話を軌道に乗せなくてはならない。
民間の対話には特別な使命がある。両国関係が共通の課題を抱えた時、その解決のための環境づくりを、政府に一歩先駆けて取り組むのが、私たち民間対話の役割である。
その使命を果たすため、私たちは、この会場に集まり、議論を行い、以下の合意をまとめた。
- 私たちが今こそ、この地域の「平和と繁栄」に取り組むべきと考えるのは、それこそが、国交正常化後の四つの政治文書で定めた「我々の責任」だからである。今年の世論調査では両国民の大多数が、日中平和友好条約の意義を政府間が再確認し、それを機能させる新しい合意が必要だと回答している。こうした民意に応えるためにも両国はハイレベル交流を一層促進し、政府間対話を再開すると同時に、日中平和友好条約の実行強化のために条約を補強し、常設対話のシステムを設置するべきである。
私たちは、これらの合意を踏まえ、今年45周年を迎えた日中平和友好条約の再出発や日中両国が世界やアジアの平和や課題に協力して取り組むために、一層の努力を行う決意である。
中国国際伝播集団
言論NPO