人口減少が急速に進む日本で、地域社会をこれから誰が支え、その未来を誰がつくるのか。少子高齢化や人口減少によって、地域社会を取り巻く環境は大きく変わっている。行政だけで地域の機能をこれまでと同じように維持することが難しくなる中、自治体やNPO、企業、住民など、多様な主体がそれぞれの力を持ち寄り、地域社会を支えていくことが求められている。
こうした問題意識から、「エクセレントNPOをめざそう市民会議in言論NPO」は2026年、これまでの活動を「シン・エクセレントNPO~自治体とNPOによる地域づくり~」へとリニューアルした。その新たな取り組みの第一歩として9月26日、東京商工会議所で「第1回シン・エクセレントNPO大会」を開催した。
これまで「エクセレントNPO」では、2012年から10回にわたって「エクセレントNPO大賞」を開催し、NPOの活動成果を社会に伝えてきた。しかし、その間にも人口減少や地方の疲弊は進んだ。そこで今回、NPOだけでなく自治体や企業など多様な主体が地域社会の課題に向き合い、ともに解決を考える取り組みへと刷新した。
新たな大会のコンセプトは、「賢い縮小・未来へのチャレンジ with 市民社会」である。
人口が減少する中では、公共施設の集約や自治体間の広域連携など、限られた人材や財源の中で地域機能を維持する「賢い縮小」が避けられない。しかし、合理化や効率化だけでは地域の活気まで失われかねない。だからこそ同時に、地域の内外の人々が協力し、新たな地域のあり方を自らつくり出す「未来へのチャレンジ」が必要になる。そこに新しい住民自治、市民社会の姿をつくろうというのが、「シン・エクセレントNPO」の考え方だ。
そこで今回の大会では、従来のように活動の成果に焦点を当てるのではなく、自治体やNPOが現場で直面する「課題」を社会に開く形へと転換した。それぞれが取り組む社会課題と、その解決に挑戦する中で新たに見えてきた課題を発表し、会場に集まった企業、大学、ボランティアなども交えて、解決の糸口や新たな連携を探ることを目指した。
登壇したのは、奈良県三宅町、認定NPO法人とりで、認定NPO法人難民支援協会、一般社団法人えんがお、愛知県武豊町の5団体。人口減少と住民自治、子どもや家庭への支援、難民との共生、地域の孤立、自治体DXと、それぞれ異なる課題を現場から提示した。
Iプレゼンテーター紹介
I三宅町(奈良県)
人口約6,300人、面積4.06㎢という、奈良県で最も小さく、全国でも二番目に小さな町です。「自分らしくハッピーにスモール(住もうる)タウン」をビジョンに掲げ、小ささを生かした意思決定の速さや、人と人との距離の近さが強みです。人口減少社会において、縮小しながら豊かになる“賢い縮小”をキーワードに、住む人、関わる人と一緒にワクワクしながら未来の共創に取り組んでいます。
I認定NPO法人 とりで(山口県)
「地域が子育てを支える」を理念とし、地域の子育て家庭を対象とした無料の学習支援や食事支援に加え、虐待等が理由で家庭で暮らせなくなった子どもたちを受け入れ職員が親代わりとして自立支援を行う自立援助ホーム等の運営を行っています。また、自立援助ホーム等を巣立ったあとも退所児童と継続的に職員が連絡を取り合い、伴走支援をおこなっていく退所児童等アフターケア事業も自主事業として展開しており、子ども家庭に関して包括的な支援を行っている法人です。
I認定NPO法人 難民支援協会(東京都)
認定NPO法人
難民支援協会(JAR)は、1999年に設立されました。「難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会へ」をビジョンに、日本へ逃れた難民の一人ひとりへの支援と、共に暮らす社会をつくるための認知・啓発や政策提言に取り組んでいます。支援は難民として認定されるための法的支援、生活支援、自立のための就労支援、コミュニティへの支援など多岐にわたります。2024年度は85カ国、1,019人へ支援を届けました。
I一般社団法人 えんがお(栃木県)
一般社団法人えんがおは、栃木県大田原市で、徒歩圏内に9軒の空き家を活用し、子どもから高齢者まで、障害の有無や世代を問わず多様な人が集う居場所をつくっています。虐待の背景をもつ子どもや自殺未遂に追い詰められた若者も、やがて誰かを支える側に回り、互いに元気になる「ごちゃまぜ」の関係が特徴です。内閣府の孤独・孤立対策モデル事業にも採択され、同様の取り組みが少しずつ各地に広がっています。
I武豊町(愛知県)
武豊町は、愛知県・知多半島のほぼ中心に位置する人口約4万3千人のまちです。明治19年、愛知県下で初めて鉄道が開通した「鉄道のまち」であり、武豊港を中心に古くから港町として栄え、味噌・たまり醸造業をはじめとする産業が発展してきました。臨海部には工場地帯が広がり、工場夜景も見どころのひとつです。名古屋駅まで電車で約40分とアクセスも良好で、歴史と自然、暮らしやすさが調和したまちです。