コロナ禍でも「東京」発で民主主義と
国際秩序の修復に取り組む

 世界では、新型コロナ・パンデミックの影響が続き、ワクチンの供給は始まっていますが、封じ込めの目途はまだ見えず、国際的な移動も大きく止まっています。

 今年の「東京会議」は、コロナ禍の中でも、世界13ヵ国の参加者を招きオンラインで実施されました。

 民主主義国10か国のシンクタンクの代表者をはじめ、世界よりヴォルフ元ドイツ大統領、ラスムセン元NATO事務総長・デンマーク元首相、ケビン・ラッド元オーストラリア首相など世界の首脳級の要人が「東京会議」の議論に加わったのは、コロナ禍が世界の経済や社会に負の影響を与えていることだけではなく、自由秩序と多国間主義を基盤とした国際協力が不安定化し、これに米中対立が深刻化し、世界がどこに向かうのか見えない状況が続いているからです。

 さらに、グローバリゼーションに伴う格差の拡大は、先進民主主義国内での民意の分裂や分断、不安に迎合するポピュリズム政治を生み出し、「民主主義」自体への懐疑心を高めています。

 今回、私たちが「東京会議」で取り組んだのは、「国際協調と民主主義の修復にどう取り組むか」です。このスローガンは、2021年1月に米国で誕生したバイデン新政権も提起したものですが、私たちは、この修復作業について、民主主義国が一致団結し、その中心的な役割を果たすべきだと考えたからです。

 民主主義国間の連携は、中国との対抗という形で今年になりさらに強化されてきています。ただ、「東京会議」の取り組みは、多国間主義を基礎としたリベラル秩序を維持・強化するため、単なる中国への対抗ではなく、「世界を分断してはいけない」という強い意志を持ち、広く同じ価値やミッションを有する国々との連携を進めています。

 そのため、国際経済やグローバルヘルスのような中国とも同じ共通の利害を有する分野では、中国との対話や協力をふかめるため、これらの分野の議論では、中国から元IMF副専務理事の朱民や前WHO事務局長のマーガレット・チャン氏が加わりました。

 この場で多くの参加者が口を揃えたのは、中国だけではなく、米国も自国主義での経済対策を行っており、自由な経済や多国間協力が後退しているということです。こうした自由秩序に民主主義国がリーダーシップを取ることは当然ですが、その民主主義国自体も国内の問題への対応を先行させなくてはならないという問題を抱えています。

 未知の世界的危機が今後もあるということ、デジタル化や脱炭素など新しい変化が世界で進む中で、ルールに基づく自由な秩序や多国間の国際協力の役割はますます高まっています。このような状況で、私たち民主主義国が努力や貢献を怠ることは、世界の重要な問題について、独裁者やポピュリストの支配に委ねてしまいかねないという、厳しい指摘も会議内の議論ではありました。

 「東京会議」は、言論NPOが2017年、世界で深刻化するリベラルな国際秩序や民主主義の世界で深刻化するリベラルな国際秩序や民主主義の大きな試練に共同で取り組むため、世界を代表する10団体の民主主義国のシンクタンクに呼び掛けて誕生した民主主義国間の会議、まさに「D-10会議」であります。世界の民主主義国やその国の影響力あるリーダーを巻き込み、喫緊のグローバル課題や国際秩序に関係する問題に「日本発」で挑み、世界に発信してきた東京会議の取り組みをより多くの人々に知っていただけたらと思います。

 本報告書は2021年3月22、23日にオンラインで行われた「東京会議2021」の記録でもあります。ぜひ、ご覧いただけたら幸いです。