
皆様、こんにちは。御紹介をいただきました川口順子でございます。このフォーラムの開催者である言論NPOの「東京会議」には、アドバイザリーカウンセルというのがありまして、そのメンバーを代表して一言御挨拶を申し上げたいと思います。今日は大勢の方に御来場いただきまして、誠にありがとうございました。
今週は、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領の2者会談、そして岸田総理とゼレンスキーウクライナ大統領との2者会談がありまして、非常に印象的な週でありました。実は、この1週間を日本人にとっては大変にメモラブルなものにしたというのが日本のWBC優勝でありまして、私の友人は、この1週間をジェットコースターに乗っている気分だったと語っていますけど、ウクライナ問題を考えなければいけない冷静な頭、そして勝利に燃える熱い気持ち、この2つの間を行ったり来たりした1週間であったわけです。
さて、その1年前から続いているウクライナ戦争です。進みつつあった世界の分断を一挙に深め、不透明さが深まりつつあった世界の先行きを一段と混沌としたものにいたしました。世界のリーダーたる国連安保理の常任理事国が国際法を守らないで、言葉ではなくて力で自らの利益を確保しようということがまかり通る世界。それを他国が止めることができない世界。そういった世界に私たちは直面をしています。
分断は安全保障分野にとどまりません。国際政治の分野にとどまりません。自由な国際経済秩序も大きく影響を受けています。また、感染症や気候変動や発展途上国の支援といった国々の協力が必要な国境を越える課題についての取り組みもうまくいっていません。
食料やエネルギーの価格が上がり、インフレ率があちこちで更新をしています。そして、そういったインフレは、人々の、そして国々の間の所得格差をまた広げていき、世界の金融市場も大きく影響を受けつつあります。
さらに、核兵器を使うことの禁止、あるいは核不拡散をはじめとする今まで多少は機能していた世界のレジームが動かなくなってきている。そういった状況に我々はあります。
戦争をどうやったら終わらせることができるのか。その先の世界に、どのように平和を構築していくのか。どのようにすれば、これまでのように世界を発展させ、繁栄させることができるのか。目の前の課題は大変に大きいです。考えなければいけない問題は非常に多いと思います。国際法が守られること、法による統治が行われることは民主主義の基本です。民主主義国にとって法の統治が基になっている、また民主主義的なガバナンスの下で世界の平和、安定、繁栄がもたらされること、これは重要なことです。
世界が困難な局面にあるときに、私たちは社会の一員として正しい情報をベースに、問題解決のための方策を考え、発信していかなければならないと思います。それが私たちの責任であり、義務であります。社会の安定というのは、ただでは得られません、フリーライダーであってはいけないということだと思います。それが民主主義社会の基本です。
言論NPOは、まさにこのような民主主義をどうやって守り、発展をさせていくかという問題意識に基づいて、今日のシンポジウムを開催いたしております。この公開セッションでは、ここに御参加いただいている世界のブレーンの皆様方と一緒に問題を考えていきたいと思います。
世界の有識者からの問題提起の後で、第1セッションは「ウクライナ戦争から1年―世界の平和秩序の再建は可能か」と題しまして現在と未来を俯瞰いたします。第2のセッションでは、「民主主義国は、世界の分断と民主主義の修復にどう立ち向かうか」と題しまして、民主主義国に焦点を当てて議論を進めてまいります。この公開シンポジウムが何らかの形で皆様のお役に立つことを心より祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。