公開セッション終了後、歓迎夕食会が行われた。各国の政治指導者やシンクタンク関係者ら約80人が出席した。
新設のアジア円卓会議は、アジアの声を世界につなぐ大きな一歩となった
「東京会議」評議会の評議員を代表して開会挨拶のマイクを握った兵頭誠之氏(住友商事株式会社取締役会長)は、今年で10回目を迎える今回の会議について「これまで以上に緊張感のある会議となった」と述べ、国際秩序が大きく変化する時代において、世界の課題について世界の識者が率直に議論する「東京会議」のような場の重要性が高まっているとの認識を示した。
また、今回の会議では新たな試みとして開催された「アジア円卓会議」については、「アジアの声を世界につなぐ大きな一歩となった」と評価した。
兵頭氏は最後に、「世界はいま大きな転換点に立っている。こうした時代だからこそ、国境や立場を越えて率直に議論し、未来に向けた選択肢を共に考える場がこれまで以上に重要だ」とし、「東京会議」が今後も世界の対話を促す場として国際社会に貢献していくことへの意気込みを語りながら挨拶を締めくくった。
続いて、高市早苗内閣総理大臣が「東京会議2026」に対して寄せたメッセージを、尾﨑正直内閣官房副長官が代読した。(高市総理メッセージの全文はこちら)
2040年の世界をどうデザインするか。今日を新たな議論のスタートの日に
乾杯の音頭を取った東原敏昭氏(株式会社日立製作所取締役会長 代表執行役)は、「今回の東京会議2026は、多国間主義について改めて考え直す非常に良い機会になった」と述べたうえで、ここで積み重ねてきた議論を今後いかに具体的な活動につなげていくかが重要だとの認識を示した。
国際情勢については「多国間主義と言いながらも、大国の力による政治が強まっている」との認識を示し、「ビジネス界にとっても非常に大きな課題だ」と語った。
同時に、こうした目先の課題への対応は不可欠だとしつつも、「それだけではなく、将来の世界像を考える必要がある」と指摘。東原氏は特に、2040年を見据えた社会像を議論する重要性を強調。「AIが生活の中に入り、仕事もAIやロボットによって大きく変わっていく。そうした社会の中で、私たちはどんな社会をデザインしていくのかを改めて考える時期に来ている」と述べた。
そのうえで、「今日を新たなスタートの日にしよう。当面の課題に対応しながらも、2040年の世界をどうしていくのかという議論をここから始めていきたい」と参加者に呼びかけ、乾杯の音頭を取った。

続いて、世界のリーダーたちが挨拶に登壇した。
対話と制度で紛争解決を
クリスティアン・ヴルフ氏(元ドイツ連邦大統領)は、今後の世界にとって最も重要なことは「人の声に耳を傾け、熟考する姿勢」だと指摘。世界各国の識者とそうした議論をすることができた今回の会議を高く評価した。
ヴルフ氏は続けて、国際社会における紛争解決について、ルールや制度、組織に敬意を払い、それらを強化することで「ほとんどの紛争は平和的に解決できる。力が必要になるかもしれないのはごく限られた場合だ」と強調。対話と制度に基づく国際秩序の重要性を訴え、出席者に協力と理解を呼びかけた。
これからも法の支配、自由貿易、そして多国間主義という理想の旗を掲げ続けていきたい
「東京会議」最高顧問でもある岸田文雄氏(元首相)は、前日のアジア円卓会議と本日の公開フォーラムを通じて、「大きく変化し、複雑化する国際情勢を反映し、参加者の立場や認識の違いから多様な意見が交わされた」と振り返った。
岸田氏は、こうした様々な意見をぶつけ合うことこそが「東京会議」の意義であるとしつつ、「私自身はこれからも法の支配、自由貿易、そして多国間主義という理想の旗を掲げ続けていきたい」と強調。世界各国の参加者に対し「理想を共有し、より良い世界を実現するための努力に協力してほしい」と呼びかけるとともに、「東京会議」の来年以降のさらなる発展に向けた意気込みを語った。
意志さえあれば解決の方法は見つかる
スシロ・バンバン・ユドヨノ氏(元インドネシア大統領)は、この「東京会議」について「時宜を得たものだ。いま世界で起きていることについて、まさにこのタイミングで話し合うことが重要だ」と高く評価。
そのうえで「私たちはいま、非常に困難な問題に直面している。決して簡単に解決策が見つかる問題ではない。しかし、意志さえあれば方法は見つかると私は信じている。私たちがここに集まったのは、解決策を見出し、前進の一翼を担いたいと考えているからだ。高い志を掲げ、より良い未来のために、世界のあり方について考えていかなければならない。不可能を可能にしていこう」と呼びかけた。
お互いに話すことでより良い解決策を見つけ、世界をより安全なものにすることができる
キース・ケロッグ氏(元米国国家安全保障会議(NSC)事務局長、元ウクライナ担当特使)は、実はトランプ大統領も常々「対話が大事だ。たとえ合意できなくても、お互いに話をすることが重要だ」と語っていたというエピソードを紹介。「私たちはお互いに率直でなければならない。そして、お互いに話をしなければならない」とし、「東京会議」も「まさにそのためにあるものだ」と語った。
ケロッグ氏はさらに、「今の世界で第一に重要なのは、意見を伝えることだ。そして、相手が何を考えているのかを理解することだ。お互いに話すことで、より良い解決策を見つけることができる。そうすることで、世界をより安全なものにすることができる」と発言。「来年、再びこの会議に参加する頃には、ウクライナ戦争が終わり、中東も落ち着いていることを希望している」と語りながら、この東京での再会を呼びかけた。
混乱の時代でも多国間主義による協力という概念は機能し得るのだと今回確信した
パオロ・ジェンティローニ氏(イタリア元首相、前欧州委員会経済担当委員)はまず、ウクライナへの支援継続を呼びかけた。他の地域でも紛争が起き、そちらに注目が集まる状況は「プーチンにとってカードを増やすことにもなりかねない」と警告。だからこそ、ウクライナへの支援を続けることがこれまで以上に重要になると訴えた。
ジェンティローニ氏は今回の所感については、「楽観主義のメッセージを受け取った」と述べた。「昨日、アジア円卓会議に出席して強く印象に残ったのは、協力の水準が非常に高いということだった。異なる国々、異なる政治体制の間であっても、互いに調整し協力しようとする意欲を感じた」としたうえで、「このような混乱の時代においても、多国間主義による協力という概念は機能し得るのだと勇気づけられた」と今回の会議の収穫を語った。
日本はこれからも世界のために尽くしていく。「東京会議2027」も必ず実現する
閉会挨拶に登壇した言論NPO代表の工藤泰志は、今回の「東京会議」を振り返りながら、「特にパネルディスカッションに感動した。世界のトップリーダーたちが、今の世界を語るということはこういうことなのかと思った」「そこには世界の多国間協力を取り戻そうという『志』を感じた」などと手ごたえを口にした。
そのうえで来年の「東京会議2027」も必ず実現すると宣言。同時に、「『日本はもう終わった』などと言う人もいる。しかし、日本はまだ終わっていない。日本はこれからも世界のために尽くしていく」と語った。